第311話 【番外編】アマビエさん、肉に興奮

「お前は欲張りだ」

「違うね。人間が欲張りなんだよ」


 社長は皮肉を言って、アマビエさんの髪をなでた。


「こんなところでいいかな?」

「あ、はい。ありがとうございました」

「絵の方はどう?」


 僕が会話している間に、センセイは何パターンも構図を完成させていた。妹も下手ながら味のあるアマビエさんを描いている。


「やーい、一人出遅れ」

「うるさいなあ」


 座った僕に向かって、社長が声をかけた。


「夕食はすき焼きでいいかな。一回作ってやったら、アマビエが気に入っちゃってさ」

「肉! 肉!」


 アマビエさんが諸手をあげ、小刻みに震えはじめる。

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