第296話 【番外編】アマビエさん、手をつなぐ

「自分の体をな?」

「はい」

「縦に引っ張り上げるのとな?」

「はい」

「横に移動させるのは違うんだよ」

「そんなもんですかねえ」


 アマビエさんの目が血走ってきたので、そういうことにしておこう。


「あ、電車来たよ」

「おおおおお」


 巨大な鉄の塊がホームに入ってくると、またアマビエさんがおののいた。


「はい、乗った乗った」


 僕と妹が素早く動き、片方ずつアマビエさんの手をつかむ。


「今度こそ本格的に腹の中……」

「ドアに片足かけたままプルプルしちゃダメですよー。閉められないから」


 アマビエさんの体をようやく押しこみ、電車は動き出した。


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