第295話 【番外編】アマビエさん、階段が苦手

 やっとのことで改札を抜けたが、その先にもまだ障害が待っていた。


「な……長い」

「いや、ホーム階段はみんなこんなもんですって」


 大きな駅ならエスカレーターがあるのだが、あいにくここは階段かエレベーターしか選べない。


「はい、上がりましょ。運動運動」

「鬼ーッ」


 しぶるアマビエさんの尻を持ち上げつつ、二十数段の階段を上った。


「や……やりとげた……」

「おめでとうございます」


 アマビエさんは息も絶え絶えになっていた。普段、食べ歩きでそれ以上歩いているだろうに。


 僕がそれを指摘すると、アマビエさんは顔を真っ赤にした。

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