第291話 【番外編】アマビエさん、券売機にビビる

「怖くないって。みんな一緒だから」


 説得しても、アマビエさんはまだぷるぷる震えていた。背中を押すと、ようやく三本足でじりじり前に進む。


「はい、券売機」

「おおおおおおお、ボタンが多い」

「分包機と同じようなものですから。お金を入れて、値段のところを押すだけですよ」


 むしろ必要な手順は少ない、と説得してようやく機械の前に立たせた。アマビエさんの持っている札は湿っているので、僕は自分の千円を機械に食わせる。


「はい、三百円のところを押して」


 指定したのだが、アマビエさんの震える指は全然違うところを押した。

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