第212話 【番外編】アマビエさん、止められない

 センセイが目を細めた。


「俺の絵も描いて欲しい。肉何枚で手をうつ?」

「販売さえ許してもらえれば、タダでいいですよ。アマビエさんのも一緒に作るし」


 それを聞いたアマビコさんは、肉をセンセイに押しやった。


「俺のを多く……」

「越後屋、お主も悪よのう」

「お奉行様ほどでは」


 三文芝居が行われている横で、アマビエさんが「無」の表情になっている。しかし、アマビコさんにそれは見えていなかった。


「じゃ、多めにしましょう。アマビエさんは二回目だから、それでバランスとれるでしょ」

「よろしく頼む」


 後ろ暗い取引が成立してしまった。

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