第211話 【番外編】アマビエさん、狙う

 なんだかこれを見ていたら、ちびちび食べるのが馬鹿らしくなってきた。僕は大事にとっておいたローストビーフを見る。


 隣のアマビエさんが、ハンターの目でこちらを伺っている。貴族に徴税される前に、肉を喉の奥に押し込んだ。妹も同じように、刺身をかっくらっている。


「ちっ」


 低い舌打ちが聞こえてきた気がした。


「あんたら、よくやるねえ……」


 センセイだけは淡々と、白粥に薬味を投入していた。


「少し食べないか」


 大胆に神戸ビーフを湯にくぐらせていたアマビコさんが、手を止める。そしてセンセイを誘った。


「して、その心は?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る