第213話 【番外編】アマビエさん、寝る

 そんなこんなはあったものの、無事に食事は終了した。各自、一階まで降りて支払いを済ませる。


「あら、送迎バス出ちゃったとこですね」


 事務の子が言う。帰りの時間まで意識していなかったので、つまらないミスをしてしまった。


「仕方ない、待つか」


 椅子に腰掛けて待っていると、アマビエさんが船をこぎ始めた。


「眠いんですか?」

「……ん」

「バスまで歩けます?」

「……ぐう」


 目の前で寝落ちされてしまった。


「お兄ちゃん、頑張って運んでね」

「はい」


 妹にさっさと役割を振られる。僕はさして抵抗せずに、それを受け入れた。その方が平和だ。

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