第203話 【番外編】アマビエさん、折れる

 僕はなんとか炭水化物を減らそうと、説得を続けた。


「石の上で好みの加減に焼けるんですって。やってみたくありません?」

「面白そうだな」

「そうしましょう」


 オニオンサラダも追加させた。これで少しは、栄養バランスがましになる。


「お兄ちゃんはどうする?」

「和風御膳。小鉢が並んでるの、好きなんだ」

「……えー、同じのやだなあ」

「諦めろ、我ら小市民は選べるものに弱い」


 妹は眉を寄せたまま、アマビコさんに顔を向ける。


「アマビコさんは?」

「神戸ビーフしゃぶしゃぶ」


 一番高いメニューである。堅実派にしては珍しい選択だ。

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