第199話 【番外編】アマビエさん、会話に復帰

「工夫?」


 夢中で行き交う船を見ていたアマビエさんが、こちらに向き直った。


「間違いは正さなければならんからな」

「で、具体的にどうやったんです?」

「肩たたき券を配りながら足で稼いで……」

「癒着じゃないか」


 アマビエさんがアマビコさんにつめ寄った。


「違う。正当な努力だ」

「確かに、件数はトップ営業マン並みです」

「畜生、こちらは現ナマを撒いてやる」

「やめてください。信仰は金で買えませんよ」


 僕はアマビエさんの目の前に、メニューをつっこんだ。


「はい、何が食べたいですか」


 食欲の権化は、それで大人しくなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る