第194話 【番外編】アマビエさん、寂しがり

「さて……」


 僕は奥へ行き、「源泉かけ流し」の湯船につかった。これに入らないと終わった気がしない。


「いい湯だなあ」


 鼻歌を歌っていると、目の前でしぶきがあがった。


「追いかけてきたんですか」

「お前が我を呼ぶから、一緒に入ってやる」

「寂しいんですね」


 指摘は無視された。


(さっきは強気だったのに)


 ざばざばと源泉を外に流す人外を見ながら、僕は苦笑いした。わざわざ人間の前に姿を現したのは、この気質が原因かもしれない。


(そろそろ、みんなと合流しよう)


 上がりますよ、というとアマビエさんは嬉しそうについてきた。

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