第192話 【番外編】アマビエさん、滝に気付く

 今度は肩まで、熱い湯がたっぷりかかる。風が顔に当たり、ほてった体を心地よく冷やしてくれた。


「ぶくぶく」

「アマビエさん、お湯に髪の毛つけるのはダメですよ」

「ぶー……」

「泳ぐのもダメです。ほら、上がって。面白いものが聞こえますよ」


 僕の声が聞こえているのか、青い塊が上がってきた。


「面白いもの?」

「ほら、滝の音がしますよ」


 ざあざあと、水が落ちる音が聞こえてくる。打たれると試練だが、傍で見ているだけなら綺麗なものだ。


「滝か。あまり見たことはないな。伝承を聞くだけだ」

「伝承?」

「滝を登り切った鯉は、竜になる」

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