第121話 【番外編】アマビエさん、走る

「早歩きくらいの速度で、五分くらい動いてみましょう」


 妹とセンセイがマシンの横に立ち、設定してくれる。


「こんなにゆるくていいの?」

「あくまで準備運動ですから」


 焦らず、ゆっくり動けば決してきつい行動ではない。しかしアマビエさんは、必死の形相で三本の足を動かしまくっている。


「アマビエさん、リラックス」

「油断するな。足を止めたら吸い込まれるぞ」


 ランニングマシンを、何だと思っているのだろう。


「大丈夫だよ。私が後ろにいるから」


 妹が声をかけると、やっと通常速度に戻る。


「足元だけが動くのが気持ち悪い」

「ふん、弱虫め」

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