第114話 【番外編】アマビエさん、歩く

 僕は立ち上がった。


「私が通ってるジム、一回行ってみる?」

「そうだな。いい気分転換になるかもしれないし」


 いつまでもアマビコのことで怒っていても、気が滅入るだけだろう。体を動かせば、カロリーも消費できて一石二鳥である。


「ええー……」


 食べ物屋と違って、アマビエさんはあからさまに嫌がる。みんなで囲んで、ようやく家の外へ連れ出した。


「へい、タクシー」

「ダメです! 戦いはここから始まってるんですよ」


 たかが十数分の距離を厭うアマビエさんの背中を押して、僕たちは坂道を登った。妹たちが先導し、僕が殿をつとめる形になる。

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