第48話 アマビエさん、出番なし②

「字が汚いです」

「そこじゃないよ」


 たしなめられた。


「名字しかないだろう? 書式としてダメ」

「えっ」

「直筆のフルネーム署名か、記名に押印。じゃないと、処方せんとして成立しない。公的書類はルールを守らないとね」

「そんなところまで」


 全く気にしていなかった。僕は恥じ入って、頭をかく。その間に、薬局長は電話をかけた。


「疑義照会は以上なんですが、処方箋の形式でお話が……」


 話はすぐに終わった。


「今日中に来れば、サインしてくれるって。事務さんに頼んどいて」

「わかりました」


【薬局あるある】見落としがちなところほど、重要。

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