第47話 アマビエさん、出番無し

「ありがとうございます」


 調剤室に戻って、僕は薬局長に礼を言った。


「聞いておかないと、また来なきゃいけなくなるからね。近所の人ならまだしも、遠方で出来ない場合もあるし」

「分かりました」

「ま、他のことでも照会しなきゃいけなかったから」


 薬局長は、軽い調子で手を振る。


「日数も用法も入ってますよ」

「欄外。処方医の名前」


 薬局長に言われて、目を落とした。処方医名があらかじめ印字されており、その横にミミズがのたくったようなサインがある。


【薬局あるある】患者さんが帰った後に失敗が見つからないよう、細かい質問をする。

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