第39話 アマビエさん、悩む

「うむむむむむ」

「だいぶ真剣に悩んでますね。この当たり障りのないやつとか」

「却下」


 青地に薬のマークが書かれた手帳は、あっという間に却下された。一番出るデザインなのに。


「じゃあ、犬とか猫? これも人気ですよ」

「食指が動かん」


 デフォルメされた犬と猫も却下された。予想はできたが、アマビエさんの好みはなかなかひねくれている。


「残ったのは……葛飾北斎と、ダラックマ」


 対極ともいえる二冊であった。


「どうしてこれが残ったんですか?」

「ライバルとして意識している」

「志が高い」


【薬局あるある】普通の人はここまで悩みません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る