第22話 アマビエさん、時間を忘れる

「時間?」

「錠剤をばらす、機械にセットする、出てきたものが正しいか確認する……と工程が増えます」


通常の何倍も手間がかかる。間違ったものを渡せないから、省略はできない。


「外出するか翌日取りに来てもらえると、待つ時間が短くて済みます」

「参考になった。では」


アマビエさんは大急ぎで階段を降り始めた。僕は見送りに行く。


「何かあるんですか?」

「王将の割引デー」

「餃子かあ」

「通はニラレバ」


順調に馴染んでいるアマビエさんに、頼もしさを覚えた。


【薬局あるある】一包化、九十日分を「三十分でできる?」と言われて白目になる。

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