第19話-B面 時任秋良の不幸は続く。
なんだかよくわからないけど、笑美ちゃんと瀬戸さんがぼくに抱き着いてわんわん泣いています。
これは、どうしたら?
助けを求めてレーコさんに視線を向けたんですが、
「知るかバーカ。テメエでなんとかしろ」
冷たい反応です。
「えっと……」
どうしよう。
おたおたしている僕のスマホの着信音が鳴りました。
相手は――
「
泣きじゃくる二人を引き離すこともできないままに通話ボタンを押しました。
「もしもし」
「私だ。アキラ、お前の住居だがな。元の場所に新築した」
「はい?」
新築?
「アパートを新築した。お前はそこに住んで大家をやれ」
「えっ?」
アパート? 大家? 何の話ですかそれは一体。
「お前は『ひとりで生きていきたい』と言ったな。最低限の準備はしてやった。入居者も二人、用意してある。残り七部屋は自分で埋めろ。細かいことは101号室、お前の部屋に置いてある。ああ、それから家賃は自分で集金しろ。以上だ――」
「あっ」
一方的にまくし立てられて通話は切られました。
「大家さん……? 僕が……?」
「くっくっく。すげーオヤジさんだなあ。ま、頑張れや」
楽しそうにレーコさんは笑っていました。
どうやら、僕の不幸はまだまだ継続中のようです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます