第12話「ゴールデンウィーク」
第12話-A面 毒島玲子は暇を持て余す。
ゴールデンウィークに入った。
だというのに進学校ってのは大変らしい。
まだ高校二年だっつーのに山盛り課題を出されてやがれる。
「一緒に課題やろ?」
エミに誘われてアキラはダイニングでノートを開いてやがる。
朝から真面目だなーコイツら。
よくもまあこんなもんを延々二時間以上もやってられると感心するわ。
でかい伸びをしてエミが席を立った。
「ちょっと休憩しよっか」
ちらりとノートを覗いてみるとワケワカラン数式がびっしりだった。
見ただけでアタマクラクラする。
「お茶淹れるね」
「あ、ありがとうエミちゃん」
「アキラよぉ」
アタシは不機嫌も露わにアキラの正面に回り込み、言ってやる。
「こんな天気良いのに外にも出ねーで家ん中でシコシコ宿題とか、オマエらの青春はそれでいいのか!? ツーリング行こうぜツーリング」
「バイク無いですよ」
「そんなもん駅前にあるヤツを借りたらいーだろーよ」
「それ、窃盗ですよ」
「じゃあ免許取って単車買え。最悪原付でもいいからよ」
「無茶苦茶言わないでくださいよ」
「バッカ、オマエ、原付の免許なんざ半日もあれば取れんだよ。あとは二、三日くらい短期のバイトして原付の中古を買え。アキラにゃ丁度いいだろ」
「バイト、ってそんな短期間でバイク買えるんですか?」
「まあ、カラダ使うバイトならな」
「カラダ……」
「バカか! 肉体労働だ! 今オマエ絶対何か違うこと考えただろ!?」
「レーコさん顔真っ赤ですよ」
「やかましいわ!」
「でも、バイクですか。ちょっと憧れます。自転車とは全然違うんだろうなあ」
「おう、海沿いとか走ると気持ちいいぞ。峠とか攻めるのも楽しいしな」
「レーコさん峠で攻めすぎて死んだとか言ってませんでしたっけ?」
「そうだな! あはははは!」
「笑い事じゃないですよ」
まあ、死んでなきゃ厄病神になってないし、アキラのバカとも知り合うこともなかったろうしな。
ピンポーン。
と家の呼び鈴が鳴った。
「アキラちゃんごめーん! ちょっと出てもらえるかな?」
お茶を淹れているエミに頼まれてアキラは席を立った。
暇なんでアタシもアキラの後ろをついていく。
「はーい」
と、アキラが玄関のドアを開けると、見知らぬオッサンとオバハンが立っていた。
「おう、アキラ! 久しぶりだな!」
「思ったより元気そうね。良かったわ」
「父さん、母さん……。なんで?」
ん? これがアキラのオヤジとオカンか? えらいパリっとしてんなオイ。
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