第3話「深夜のこと」
第3話‐A面 三波笑美は眠れない。
アキラちゃんを家に招いてからずっと落ち着かなかった。
晩御飯を食べてる時も、お風呂に入っている時も、もう寝ようと思ってベッドに入ってからも。
アキラちゃんのことばかり考えてる。
晩御飯の時はお兄ちゃんばっかりアキラちゃんとお話して、私は全然喋れなかったし、その後アキラちゃんはすぐにお風呂に入って部屋に行っちゃうし。
もう寝てるかな。
今日、大変だったよね。火事とか。なんで放火なんてする人がいるんだろう。
それでなくても始業式でアキラちゃん緊張してたし。
そっとしておいてあげるべきなんだろうなあ。
それはわかってる。
わかってるけど。
「あーもー……」
駄目。
全然駄目。
私、自分のことしか考えてない。
顔見たいとか、話がしたいとか。
そんなの今日じゃなくてもいいのに。
「あーあ」
最悪。
自己中。
自己嫌悪。
でも。
堂々巡りの思考。
全く眠れる気がしない。
気が付けば私はベッドから這い出していた。
そろりそろりと部屋を出て、お兄ちゃんの部屋、つまりアキラちゃんの部屋の前で立ち止まった――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます