第33話

 ハルシウスの制止を振り切ってルミナリスが飛び出した。

「あのアホめ……プリシラとルミオはルミナリスのサポートを頼むぞ!」

ハルシウスは顔に手を当てて呆れるが、二人に指示を出して飛び出した。

 血走った目で飛びかかるルミナリスにウェルドレッドが斧を構える。

「一人目はお前か! 『ウルネルド』!」

さっきより小さいフォームで素早く打ち出した。小さい風のドリルだが、それでも地面を巻き上げる。ルミナリスはギリギリまで前進してかわし、間合いを詰めた。頬からは一筋の血が伝う。ルミナリスが目前まで来ているが、ウェルドレッドは既に次に備えて斧を上げている。振り下ろされた斧をルミナリスは柄を握って止めた。大地が二人を中心に揺れる。ウェルドレッドが至近距離にも関わらず大声で叫んだ。

「やるじゃねえか!」

ルミナリスは答えることなく顔を笑わせる。その顔は般若のように全てが歪んでおり、身体中に無理を言わせてるのだろうか血管が大きく浮き出ている。               

 柄から手を離して次の一撃のためにそのまま右拳を後ろに引いた時、ルミオの声が響いた。

「頭を下げて下さい‼︎」

ルミナリスは舌打ちをしながら頭を前に倒す。すると、後ろに立っていたルミオの槍が頭の上を通過して真っ直ぐウェルドレッドの元へ向かう。ウェルドレッドは斧で槍を左になぎ払う。

「こいつらもやるじゃねえか。流石に分がわる……」

「炎者舞舞」

右を見ると、死角だった所からプリシラが呪文を唱えていた。杖から出たいくつもの細い炎の線がそれぞれ意思を持ってるかのように自在にウェルドレッドに襲いかかる。反応出来ずに、一点に炎は集まり、烈火となった。ルミオとルミナリスはその場から離れる。

 ルミオたち三人は構えを解かない。やがて火の中から、ウェルドレッドが現れた。しかし無傷という訳にも行ってないようで、傷痕がいくつも見られる。

「てめえらよくも……」

横目でチェスリンの方を見る。

 すると、そこでは仰向けに倒れるチェスリンとダークネスロッドを向けてるハルシウスがいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る