第14話
ハルシウスとルミオ、プリシラの三人は朝から街へと調査に向かった。手当たり次第に刻印の模様や勇者、レガリアという単語を出して心当たりのある人を探す。しかし、何かしら知っているものは居なかった。
「この模様を知っておるか? レガリアという一族のものなのじゃが」
「いや、知らないねえ。こういう家紋はどこにでもあるから」
「そうか……」
昼に差し掛かったため、一度調査を切り上げて昼食を取ることにした。ハルシウスとプリシラはまだしも、一番情報を渇望していたであろうルミオの顔は少し暗かった。
「なかなか見つからないね」
「そうですね」
「この広い世界の中にある一つの普通の集落だったら、流石に一日でとはね……他にはなんか村について覚えてないの?」
「そうですね……皆集落の中で暮らしてて、余り外に出て行く人は居ませんでしたからね。せめて大体の場所だけでも分かれば良いんですが」
「地図を見たことも無い、か。近くの集落の話などは無いのか?」
「はい。集落の外の森へ遊びに行くことはありましたけど、その先は禁止されてたので行ったことがありませんでした」
三人はその後も調査を続けたが新しいものは得られず、結局今日は諦めて帰ることにした。
宿の入り口の前まで帰って来た所で、突然後ろから声をかけられた。
「やっと見つけたぞ、俺ともう一回試合をしてくれ!!」
後ろを振り返ると、闘技場でハルシウスと対戦したダークエルフ、ルミナリスが立っていた。
「なんじゃ、お主か! わしも闘いたい所じゃが、今はルミオの故郷探しで忙しくてのう」
「なんだと、街中聞いて回ってようやく見つけたんだ。絶対に相手してもらうぞ!」
「そうは言ってものう。……そう言えばお主は知らぬか? レガリアという名前とこの刻印」
そう言ってハルシウスは書き写した刻印の模様を一応見せてみる。
「ううん……聞いたこと無いなあ。俺も集落出身でこの国からもあまり出たこと無いしな。……そう言えば、ハルシウスは組み手中になんか言ってなかったか?」
ルミナリスが負ける寸前に何かを聞いたことを思い出す。
「ああ、お主と似た型の闘い方をするダークエルフが友におったのじゃ。名前はアリミエル、やつはお主の何倍も強かったぞ」
ハルシウスが小ばかにするようにケラケラと言う。すると、ルミナリスは驚いた表情をして答えた。
「アリミエル⁉ そいつはうちの集落の長だぞ」
「ああ、そうじゃったか……。な、なんじゃと。本当か、ルミナリスよ⁉」
ハルシウスも驚愕し返す。
「ああ、間違い無いぞ。最早ダークエルフの中では今にも死にかけの最古参だがな」
「確かに、やつなら長生きしていてもおかしく無いかもな。……もしかしたら何か分かるかもしれぬ。ルミオよ、行こうでは無いか!」
ルミオの顔に少し元気が戻るが、プリシラの顔を見て心配そうに尋ねた。
「はい! ……でも、プリシラさんは仕事は大丈夫なんですか?」
「私は大丈夫。丁度ここでの用事は終わったからね。着いていくよ」
三人は次の日、ルミナリスと共に街を出た。
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