第27話 動物園の主1
生い茂る
そこも、陽の光がさしているのに、陰鬱な場所だった。風は
ただの草葉の陰でさえ、瘴気を得て悪意を込めて揺れているように見えた。
まるでアステカ中の邪気が集まり、渦巻き、土に宿り、木に宿っているように思える場所だった。
「動物園の
奥から、チマルマが出てきて静かに言った。無表情な顔つきの中に、あるかなきの悲痛さがある。
「私の槍を貸そうか?」
「ありがと。でも、ええよ。うちは、自分はやっぱり呪医術師やと思うしな。呪術と医術と武術。鍛え上げた仙術気身闘法で戦って、死ぬわ」
頭の中には、冷静な部分がいつもあって、計算はしている。
真相を知るには、ヴィオシュトリの協力が不可欠で、ヴィオシュトリに言うことをきかせるには、不可能な試練を乗り越えてみせるしかない。
分かっている。だが、不可能なものは不可能なのだ。
みすみす死ぬつもりはないが、圧倒的なものが、動物園の奥に居て、近づいてきているのが分かる。
とてつもない重量を持ったものが、木の枝をかきわけながら、ゆっくりと近づいてきている。
「まさか、“
神成り一族に伝わる古い伝承の中に、生きながらにして精霊となった巨獣の話がいくつかあった。
その獣たちには、無数の名があり総称して“大いなるもの”と呼んだという。
まだ、姿は見えないのに、笑ってしまいそうなほどの圧迫感と、今まで感じたことのない恐怖がある。
恐怖はさらに凝縮して、
ちょっとでも気を抜けば、膝が脱力し、腰から砕けていきそうだった。
呼吸法。特別な呼気と吸気を繰り返し、通天貫地功法でもって、邪気を浄化して体内を高速で循環させた。
体全体を
「よし」
そして“それ”は、ゆっくりと姿を陽の光の下に
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