エピローグ

 通り魔の騒動からしばらくたった頃。

 一時期は静かだった月ノ坂に通り魔はもう現れないとわかってか、再び不良のたまり場となり始めていた。

 一宮君は生徒会長に言われたように、また何か対策を打つのだろうか。

 今のところ、そんな気配はないけれど。

「なぁ、おい。あれ」

 藤原君と新聞部の部室に向かおうと歩いていたら、彼が窓の外に何かを見つけたようだった。

 立ち止まってのぞいてみる。

 ……園田さんと中村さんだ。

 向かいの校舎の廊下を二人並んで歩いている姿を発見した。

 園田さんが一生懸命話しているのを、中村さんがニコニコしながら頷いている。

 ……恋人同士……には見えない。

 相変わらず、幼なじみという関係を続けているようだ。

「……ずっとあのまんまなのかな」

 藤原君も同じことを思ったのか、ボソッとつぶやいた。

 少なくとも、しばらくの間は幼なじみのままなんでしょう。

 園田さんはきっと気づかない。

 彼女の気持ちに。

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月夜の通り魔 ホタテ @souji_2012

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