第11話
「おー、戻ってきたか。どうだった」
部室は変わらず、散乱したままだった。
「……収穫はありました」
「何だ? 聞かせてみろ」
私は、部長と藤原君に、先生から聞いた話を伝えた。
「バイク事故……? それって……」
藤原君も、中村さんから聞いた話を思い出したようだ。
「なるほど……呪いはあったんだな……!」
なぜか嬉しそうな部長。
「それで……私に電話してきたり、早く戻って来いと言ってきたり……何かあったんじゃないんですか」
二人とも、私の帰りを待っていたという感じではなかった。
「あ、そうだった! 聞けよ、清原!」
……忘れてたんかい。
「部長に教えてもらったんだけどさ……中村さんと園田さんって幼なじみらしいぜ!」
「……はい?」
何ですって?
幼なじみ?
「……園田さんは幼なじみを通り魔だと言っているってこと? ……何の為に?」
「一宮光に勝つためだろ」
葵さんが素っ気なく言った。
ということは……
「中村さんもグル?」
藤原君が激しく頷く。
「どうしてもっと早く教えてくれなかったんですか」
「急に思い出したんだよ……。この話だって、知ってるやつは知ってるって感じだしよ」
……どう考えても結びつかない二人ですものね。
葵さんだって知らなかったようだし……
「二人がグルかどうかは、実際に見て確かめてこい。んで、ついでに本物の通り魔の正体も暴いてこい!」
「……部長は行かないんですか?」
すっかりその気になっているものだとばかり思っていたが、自分の目で確かめるつもりはないようだ。
「俺の記事にしてもいいのなら」
「私たちだけで行ってきます」
だいぶ外も暗くなってきた。
そろそろ通り魔が現れてもおかしくはないだろう。
通り魔は、何年も前に死んだ女生徒の亡霊なのか。
園田さんと中村さんは何がしたいのか。
……一宮君は、何を考えているのか。
もうすぐ、全てが明らかになる。
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