43日目 靴下と鬼

ある日の生徒会室でのこと。


〈アゲハ〉あれ?


〈坂尾〉ん?どうしたの?


〈アゲハ〉いえ、パソコンの調子が悪くて...


〈坂尾〉え?ちょっと見せて


〈坂尾〉んー、これは、わからんなー。とりあえずもうすぐ柄本会長来るとおもうから待ってて。ごめんね、おれ機械苦手だから。会長と二神はパソコン得意だから聞いてみる


〈アゲハ〉すみません...


〈坂尾〉いいよ


と、そこに会長と芽果が入ってきた。


〈坂尾〉おっ!ちょうどいいところに!


〈柄本会長〉ん?なにが?


〈坂尾〉実は、さっきパソコンが...


坂尾はパソコンが調子悪いことを伝えた。


〈柄本会長〉んー、どれどれ?おっ!これは!


〈坂尾〉なにか、わかったんですか!?


〈柄本会長〉いや、多分これは、wifiの調子が悪いな、もしかしたら、抜けてるのかもな。ところでさっきまでなんのしごとしてた?


〈アゲハ〉新しくできたズボン部の経費を計算して、算出してました


〈柄本会長〉おおっ!あのズボン部か!よし!わかった!直してやる!


生徒会室のwifiは入り口はいって、大きな白いガラス張りの棚がある。そこの一番上に色々なコードやwifiがひいてある。コンセントもそこにある。柄本会長はその棚の上を靴を脱いで、椅子の上に上り、手を伸ばした。


〈柄本会長〉よし!これでどうだ?アゲハ、ちょっとパソコン動かしてみて


〈アゲハ〉はい


と、アゲハはパソコンを動かした。


〈アゲハ〉あ!直しました!やった!ありがとうございます!


〈柄本会長〉おう!またなにかあったらいってくれ


〈アゲハ〉はい!


と、柄本会長は椅子から降りようとした瞬間芽果がなにかに気づき、猫に引っ掻かれたような声で悲鳴をあげた。


その声に柄本会長はびっくりした。


〈柄本会長〉うわ!びっくりした。なんだよ?急におちるところだった


〈芽果〉ちょっと!篤実くん!その靴下なに!?


〈柄本会長〉は?靴下?


〈芽果〉は?じゃないわよ!その青い靴下!穴めちゃ空いてるじゃない!?しかも!両方とも!


〈柄本会長〉そうだな?それがどうした?


〈芽果〉"んっー!!もう!だらしないわよ!この学校の背中を背負ってる生徒会長がだらしない!なにしてるのよ!いい!こういうところで、性格がでるのよ!なんで!そんなにだらしないの!ねえ!聴いてる!?


〈柄本会長〉あ、いや、その...


〈道久〉すげー...あの会長が圧されてる


〈芽果〉なんで?いつもそうなの!?なんで、そんな一杯穴が空いてる靴下をわざわざ履いてくるの!?せめて、穴あいてないやつ履いてきてよ!お願いだから!それだから、なめられるの!それに、もう3年生なんでしょ!

一番こういうことに気をつけないといけない時期でしょ!あ!思いだした!進学か就職か調査する進路希望調査って、あっちゃんまだたしかだしてないよね!?

どうなってるの!?あっちゃんだけじゃない!?科目だってあんまり考えずに決めるし!


芽果は顔が赤くなるほど怒った。


〈柄本会長〉そ、それは靴下と関係ないんじゃ...


〈芽果〉そんなことありません!大体ね!昔から...


と、そこに二神が入ってくる。


〈二神〉柄本会長、理事長が呼んでましたよ?


〈柄本会長〉おっ!それは大事な用かも!また、こんどな!芽果!


と、行ってしまった。


〈芽果〉あっ!ちょっと!まだ話は終わってないわよ!まったく、もう!


と、怒りながら椅子に座る。


そこに、二神がお茶を入れて芽果に持ってきた。


〈芽果〉あら、ありがとう


〈二神〉少しは落ち着きましたか?


〈芽果〉ええ、だいぶ。会長も二神くんみたいにしっかりしてほしいわ


〈二神〉僕はそんなにしっかりしてないですよ?それに元々は生徒会に入るつもりは無かったんです。けど、あの人の下に居たいって思わせてもらいました。

今頃ここに居なければ、つまらない高校生活になってたのかも


〈芽果〉まあ、あんなのでも生徒会長だもんね。しっかりしてるようでしっかりしてない。そんなところがかわいいところでもある。今回はちょっと怒り過ぎたのかもしれないわ


〈二神〉時には鬼のように厳しいところも


〈芽果〉その裏腹では凄く心配性で優しい一面も


〈二神〉なんか鬼の目にも涙みたいですね


〈二神〉ははは!


〈芽果〉ふふふふ!そうね!


と二人は笑っていた。


柄本会長には人を見る目がある。このメンバーは柄本会長が一番、安心できるメンバーなのだろう。


ー 43 靴下と鬼 ー おわり

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る