第15話®️

「とにかく、学校で僕達のように、蠢く影に侵入されていない仲間を探そう…仲間は多い方がいい…」


色んな人の話しを聞けば、あの影の新しい情報がもっと聞けるかもしれない。

そうすれば何か対応策が浮かぶかもしれないし、上手くいけばあの影自体を消し去り、皆んなを元の状態に戻す事だってできるかもしれない。


「僕は昨日、あの影に侵入されなかった。それは何故だか解らない。ひょっとすると、人に侵入する前の蠢く影を見つけたからかもしれないし、他に理由があるのかも知れない」


彼は少女に目をやりながら言った。


「ただ、どうやらあの影に侵入された人達は昨日をやり直しているようだ…そう考えると僕達が今日、あの影に侵入される可能性は低いような気がする…でも…まだ解らない…とにかくお互い、影には気を付けよう」


「でも…影の近くにいないようにするのは難しいわ…今だって木の影の中よ…それになぜ、私達が今日侵入される可能性が低いと思うの?」


少女は不安そうに言った。


確かにそうだ…考えてみれば、影は至る所にできているし、室内では窓から射す光が届いている範囲以外は全て影だと言える…


彼は昨日の蠢く影を思い出した。


「僕があの影を見つけた時…あの影は…影の先で蠢いていた…そして…僕が影を見つめている事に気付いたのか、あの影は急に影の中を移動し、屋根に届く影から屋根の隙間に入り家に侵入した…嫌な予感がして、僕は急いで家に入った…その時、蠢く影が室内の影の中を移動し…弟と母に侵入したように見えた…」


そして全てはそこから始まったように思う。

蠢く影を見つけた時、あの友人が通りかかった。

友人に声をかけた時、あの時はまだ友人は侵入されていなかった…もしくは…された直後だったのか…母と弟も、侵入を受けた直後に僕を見つけ、お帰りと言ってくれた…その事を考えると、侵入を受けた人の行動が変わり始めるのには、少し時間が必要だと言えるのではないか…


「とにかく、あの時間に皆が一斉に侵入を受けたのだとしたら…学校にいる間は大丈夫だと思う…けどこれは今日を過ごしてみないとハッキリした事は解らない… でも、影の先には注意して…もし、影の先が蠢いているのを見つけたら距離を取るんだ」


少女は真剣な目で頷いた。


「そして、休憩時間にはここに集まろう。その時に、もしも、僕達のような生徒や先生がいたらここに連れて来よう」


2人は頷きあい、立ち上がった。


「じゃあ、また後で…」少女は小さな声で、でも力強くそう言った。


彼も力強く頷き「うん。頑張ろう」と言い、2人は校舎に向けて歩き出した。





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