第3話®️
シャドーに侵入されると同じ毎日が繰り返されるようになる。
でも、人々はそれに気付かない。
ただひたすら同じ行動を繰り返す不変の中にいる事に…
それは人だけではない。
あらゆる動物、昆虫もそうだった。
天候も変わる事なく、空に浮かぶ雲さえも変わる事はないのだ。
あの瞬間、あの少年と出会わなければ、私も不変の一部になり、最終的には飲み込まれていただろう。
あの時…
私はお気に入りの動物に会いに、森へ向かっていた。
野原を進み、森の入り口が見えてきた頃、ふと、誰かがいるのに気付いた。
その少年は森を抜けて来たのだろう、こちらを見て立ち止まった。
私と目が合う。
見た事のない人物だ。
私は彼の生命エネルギーをスキャンした。
彼は14〜15歳の少年で、私より2〜3才程年上。
健康状態は悪く無いが、精神状態には問題があった。
少年は「お前はここの住人か?この辺りには村があるのか?人はたくさん住んでいるのか?」
彼はしっかりした声で、矢継ぎ早に聞いてきた。
「そうよ。私は村から来たの。もちろん人も、動物だって住んでるわ」私は警戒しながら答えた。
そして、「あなたは誰?どこから来たの?」今度は私が聞いた。
「今は何月何日だ」
私の質問を無視して彼は聞いてきた。
「…6月23日よ」私は少し無愛想に答えた。
「6月23日…ということは、トラベルは成功してるな…」彼は呟いた。
「ここで何かおかしな事は起こってないか?家族や知り合いに違和感はないか?」
私には意味がわからない。
でも彼は真剣そのもので聞いて来る。
「…違和感なんて…感じないけど…」私は戸惑いながら答えた。
「そうか…なら、ヤツらが来るのにまだ少し時間があるだろう…」そう呟いて彼は真剣な眼差しで私を見て、こう言った。
「お前!自分の村を守りたいか!自分の家族や友達を守りたいか!」
何を言ってるの?そんなの当たり前じゃない…訳は解らないが、私は「当たり前でしょ」と答えた。
「なら、今から俺が話すことを疑わずに聞け!時間がない!」
彼はただならぬ気配を漂わせ、真剣な口調でそう言った。
彼の目からは怯えの色が感じられたが、それ以上に燃え盛る闘志の色が感じられた。
私はもう一度彼をスキャンした。
最初に感じた彼の精神状態の問題は、彼が今から話そうとしている事が関係しているのだろうと感じた。
今日はあのお気に入りの動物に会いに行くのを中止し、彼の話を聞くべきだと思った。
「わかった」私は一言だけ発し、近くにある腰掛けるのに丁度良い石に彼を案内し、話を聞いたのだった。
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