第148話 キス魔催眠
パァン
私が手を叩く音に先輩はゆっくりと目を開けると、すぐにビクッとして目を逸らした。
「その反応は……どうやら催眠がうまくかかったみたいですね」
そう言いながら私は、先輩の目の前ににじりよる。耳が真っ赤になっていて、ドキドキしているのがこっちまで伝わってくるようだ。
「先輩——いま、何がしたいですか?」
先輩の耳のすぐそばで囁く。先輩が目をぎゅっとつむって身体を震わせる。私は小さく笑って、誘惑するように続けた。
「いいんですよ?我慢しなくても。だって、その催眠をかけたのは私なんですから」
私の言葉に、先輩が向き直る。目がわずかに潤んで、半開きになった唇からは熱い息が漏れて、まるで砂漠でオアシスを見つけたかのよう。
「我慢は身体に良くないですよ。——先輩、目をつぶってください」
私がそう言うと、先輩はきゅっと目をつむる。とっても素直だ。私はぞくぞくするような喜びを感じながら、私はゆっくりと、唇を重ねた。
今日私が先輩にかけたのは、『キスがしたくてしたくてたまらなくなる催眠』だ。躊躇っていた先輩が、私の背中に回した腕に力を込める。
「素直になれてえらいでふね。いっはいキスしてあげまふからね」
唇を重ねたまま私は言って、先輩の頭を撫でる。キスが深くなって、舌先が触れ合う。先輩が身体を甘えるように擦りつける。それから、背中に回っていた先輩の右手が、前に来て私の胸を揉んだ。
「ぷはっ」
私は息継ぎと共に唇を離して、先輩を睨んだ。
「どこ触ってるんですか?先輩のエッチ」
私の言葉に、先輩は「我慢は身体に良くないって言ったのはそっちだろ」とでも言いたげな恨めしそうな目で私を見つめる。
「ダメです。私はおっぱいを触りたくなる催眠なんてかけてませんよ?キスまでです」
そう言って私は先輩の手を解くと、キスを再開する。胸からどけられた先輩の手は、私の腰と太ももを撫でて、制服のミニスカートの中に這入ってくる。
「んっ!だから、だめって言ってるじゃないですか」
私は小さく喘ぎながら、先輩を叱る。それから、頬同士をくっつけた状態で先輩にささやいた。
「それとも——キスだけでエッチな気分になっちゃったんですか?」
先輩は黙ったまま体重をかけて、私をゆっくりと床に押し倒した。
「ほんとうに、先輩はエッチなんだから」
——
パチン
ベッドの上で、裸で寄り添って。先輩は、私の胸に顔を埋めて唸っている。催眠が解けて、催眠中に自分がした強引なおねだりが恥ずかしくなったらしい。
「まあ、こうなることは分かってましたけどね。先輩はエッチですから」
やれやれとばかりに私は言う。そう、この展開は予想通り……
「分かっててこんな催眠かけたんなら私の方がエッチだなんてことないですよ!?!?先輩がエッチなんです!!」
「俺何も言っては無いぞ!?!?」
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