第139話 乳首勝負催眠
パァン
先輩が手を叩く音で我に返った私は、ワイシャツのボタンに指をかけながら先輩を睨んだ。
「詩音?」
「何ぼーっとしてるんですか?先輩も早く脱いでください」
私はそう言いながらワイシャツを脱いで、スカートのファスナーにも手をかける。先輩はそんな私を見て、少し呆れたように小さく笑って言った。
「いやいや。俺が脱ぐのは勝負がついてからで良くない?」
「へえ?ずいぶんな自信ですね?」
私は眉を吊り上げながら、下着まで全部脱ぐ。先輩は少し黙って考え込んだ後、バックルを掴んでベルトを引き抜いた。
「やっと勝ち目が無いことがわかりましたか」
私がそう言うと、先輩は眉を下げながら笑って応じる。
「ううん。詩音に汚されても困るから」
その言葉に私は頬を大きく膨らませる。そして、先輩の膝の上にドスっと腰を下ろした。
「いいですか?責めていいのは乳首だけですからね」
「うん。もし詩音が我慢できたら、本番ね?」
先輩のその言葉に、私は力強くうなずく。先輩は既に勝ったつもりでいるみたいだ。“もし我慢できたら”なんて。絶対に我慢して、今日も先輩とエッチなことしてやる。……あれ?
「っ!?」
思考が何かに引っかかったところで、それを押し流すように快感が頭に流れ込んでくる。先輩が私の乳輪を、指先で優しくなぞっていた。
「これはどう?」
先輩が耳元で囁く。
「別に、これくらい全然余裕です」
私が小さく震えながらそう言うと、先輩が少し噴き出して言った。
「いや、そうじゃなくて。ギリギリ乳首に触ってないくらいだから『乳首責め』としてアリなのか確認したかったんだけど、大丈夫そうだね」
そう言って先輩は指先で描く円を少しずつ縮めて、乳首の側面を指先がかすめる。
「んっ!」
私の押し殺した喘ぎ声に、先輩が笑いを含んだ声で囁く。
「これだけでこんなに感じるなんて、ほんとに我慢できるの?」
「感じてなんか、ないです!」
私が顔を背けながらそう反論すると、先輩はサディスティックに追い詰めるように囁く。
「“感じてない”は流石に嘘じゃん。——そんな嘘を吐く悪い子は、お仕置きをしてあげないとね」
そう言うと先輩は、私の固くなった乳首を2本の指で優しくこねるようにつまむ。
「んっ!あっ!」
親指と中指で乳首の端を引っ張って、人差し指の先で乳首を責める。
「あぁん!あぁっ!」
「ふふっ、ほら、もう声も抑えられなくなってる」
先輩の囁き声と共に、吐息が耳にかかる。
「んんっ!先輩、さっきからズルいですよ!責めていいのは乳首だけなのに、ずっと耳も一緒に責めてるじゃないですか!反則です!」
その言葉に、先輩は数秒固まった。息遣いだけが聞こえる。その間、私は息を整える。すると、先輩は
「こうやって耳元で囁かれると、気持ちよくなっちゃうの?ゾクゾクしちゃうのかな?」
唇が触れるくらいの距離でそう囁いた。先輩の言葉通り、ゾクゾクするものが背骨を走って私は思わず身体を震わせる。
「そ、そうです!私が耳弱いの、先輩知ってるじゃないですか!だから——」
私が言い終わる前に、背中を包んでいた先輩の体温がパッと離れた。
「うん、分かった。反則負けも嫌だしね」
「あ……」
先輩がそう言いながら私を膝から下ろす。私の口からは、無意識に名残惜しいような声が漏れた。
「そのかわり」
先輩はベッドに座った私の前に来ると、固く勃った私の乳首を優しくキスするように口に含んだ。
「んんっ!」
熱く濡れた舌先から与えられる快楽に、私は思わず背中を仰け反らせてベッドに仰向けに倒れる。先輩はそんな私に覆い被さるようにして、貪るように乳首を責める。
「あぁんっ!ぐっ!せんぱぃっ!んあっ!」
私は激しく喘ぎながら身体を悶えさせる。快感で頭が真っ白になる。気持ちいい。先輩が舌先でつつくのも、舌を広く使って撫でるのも、唇で甘く締め付けるのも、歯で優しく甘噛みするのも、何もかもが気持ちいい。うっとりした顔で私の胸を吸う先輩が可愛くて、愛しい。先輩が好き。気持ちいい。お腹の底から何かが上がってくるのがわかる。気持ちいい。きちゃう。大好き。ああ——
「あ゛あぁあぁっ!!はぁ——」
私はひときわ大きく身体を痙攣させて、ぐったりと脱力する。先輩はそんな私の顔を覗き込みながら、私の頬を撫でて訊ねた。
「——イっちゃった?」
「……イッちゃいました」
私は顔を真っ赤にして、目を逸らしながらも正直に言った。もしここで私が負けを認めなかったら、先輩は負けを認めるまでイッたばかりで敏感な私を追撃するだろう。考えただけでも、お腹の中がきゅうっとするのを感じる。私の言葉に、先輩は嬉しそうな笑みを浮かべて、私を押しつぶすようにのしかかった。
「やった。俺の勝ち」
先輩は私の耳元でそう囁いた。もう乳首以外も責めていいのだとばかりに耳たぶにキスをして、右手で私のお尻を撫でながら。
「……それで、その……本当に今日はもうエッチなことはしないんですか?」
私は目を逸らしながら、口籠もってそう言った。
「おかしなことを言うね?そういう勝負だったでしょ?」
先輩は私の頭を撫でながら諭すようにそう言った。私は目を逸らしたまま、先輩の脚に脚を絡ませて、内腿を擦り付けるように動かしながら言った。
「でも、先輩だって私のおっぱいで気持ちよくなって、そういう気分になってるんじゃないですか?収まりがつくんですか?」
私の言葉に、先輩がわずかに眉間に皺を寄せる。
「その……おっぱいでいっぱい気持ちよくなって、えっと、その……奥が、切ないんです。——うぅ、先輩のイジワル」
私が尻すぼみにそう言うと、先輩が私の頬に手を添えるようにして、俯いている私の顔を前を向かせて、唇を強く押し付けた。
「まったく、詩音は仕方がないな」
——
「えへへへへ」
私は満たされて、だらしない笑みを浮かべながら先輩にぎゅっと抱きついて頬擦りをする。先輩はいじわる、あるいはツンデレなだけで、ほんとうはいつだって私に求められるのはまんざらでもないのだ。先輩は柔らかな笑みを浮かべながら、腕の中の私の髪を優しく撫でている。
「先輩、好き——」
先輩がいっぱい気持ちよくしてくれたせいで、気持ちが溢れて、私は先輩の胸にキスをする。
パチン
耳元で指パッチンが弾けて、催眠が解けて、私は我に返った。
「違いますからね!?!?」
私は先輩を突き飛ばしながらベッドの上に起き上がった。
「おわっ!?」
先輩はゴロゴロと転がってベッドの下まで落ちる。
「私が、その……おねだりとか——催眠のせいですから!先輩のエッチ!!!」
「いや、今回は『乳首責め勝負をすることになっている』っていう催眠だけで、他の催眠は特に——」
床に打ち付けたであろう腰をさすりながら起き上がった先輩を睨みつけながら、私は叫んだ。
「全部!催眠の!せいです!!!」
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