第138話 甘えん坊催眠
パァン
今日俺が詩音にかけた催眠はシンプルで。
「先輩……」
ふらふらと歩いてきた詩音は俺の膝の上に座ると俺にぎゅっと抱きついてきた。頬擦りする詩音を俺は抱きしめ返す。
「えへへ、先輩……」
詩音は蕩けきったような、満足げな笑みを浮かべた。つまりはまあ、『甘えん坊になる催眠』である。
「先輩、ちゅーしたいです。ちゅーしてください」
腕の中から俺を見上げながら、子供のように詩音がねだる。
「うん、いいよ」
目を細めて応じながら、俺は詩音と唇を重ねた。緩やかに甘えるような、それでいて貪欲なキス。俺はそんな詩音の頭を撫でて、頬を撫でた。その度に詩音の身体が気持ちよさそうに震える。
「えへへ、先輩。気持ちいいです」
詩音は満足げにそう言って、キスの場所を頬に移す。俺は、詩音とすれ違うようにして、詩音の右耳の耳たぶにキスをした。
「んんっ!」
詩音が噛み殺すような嬌声を上げて、背中を反らせる。耳を口で追いかけようと俺は前のめりになって、そのまま覆い被さるようにして床に押し倒すような形になる。
「耳、舐められるの嫌?」
のしかかった詩音の耳元ゼロcmで、囁くように問いかける。
「いや、じゃないです。もっと、もっとしてください」
荒くなった息で、途切れ途切れに詩音は言った。その言葉に、俺は舌を詩音の耳全体に這い回らせた。詩音は俺にぎゅっと抱きついて、快感に身体を悶えさせる。
「……せんぱい!……もっと、気持ちいいことしてください!奥……!」
詩音がふにゃふにゃになった口で、息も絶え絶えな間にそんな風にねだる。
「……じゃあ、下、脱がせるね」
俺がそう言うと、詩音は右手を口元にやりながらこくりと頷いた。俺は制服のミニスカートの中に手を突っ込んで、詩音の下着を引き下ろす。詩音は恥ずかしげに脚を内股にしながらも、脱がせやすいように腰を浮かせたり、膝を曲げたりしてついに爪先から詩音のパンツが離れた。もう一度覆い被さるような体勢になって詩音を見つめると、詩音の目には待ちきれないと言わんばかりのギラギラとした光が宿っていた。またキスをする。激しく舌を絡め合う、情熱的なキス。その間、左手でワイシャツ越しに詩音の胸を揉む。
「んんっ!先輩、せんぱい!」
甘く恍惚とした声で、媚びるように詩音が俺を呼ぶ。
パチン
俺は空いていた右手で詩音の耳元で指パッチンした。詩音は恍惚とした表情のまま固まって、じわじわと顔が真っ赤に染まる。
「……先輩、なんで、こんな後戻りできないタイミングで催眠を解くんですか?」
わずかに恨みがましい響きが混ざった声で詩音が訊ねる。
「説明した方がいい?」
俺が口元に笑みを浮かべながら聞き返すと、詩音は頬を膨らませて顔を背けながら言った。
「いいえ。要りません。先輩がイジワルだからです」
その答えに俺は小さく吹き出す。それから両腕で詩音を抱きしめながら、耳元で囁いた。
「催眠にかかってなくても、いつでもさっきまでみたいに甘えて良いんだよ?」
「……ほんとうに先輩はイジワルです」
そう言って詩音は耳を真っ赤にしたまま俺にぎゅっと抱きついて、顔を押し付けた。
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