第130話 うつぶせ催眠2
パァン
「……身体が動かない」
手を叩く音に目を覚まして、俺はつぶやいた。後輩の詩音の部屋のベッドの上で、うつ伏せになっている。トランス状態の間に脱がされたのか、服も下着も何も身につけていない。
「先輩、起きましたか?」
後ろの方から、この催眠をかけた後輩の詩音の声が聞こえる。
「また妙な催眠をかけたな……うつ伏せでいいのか?」
俺は枕に顔を埋めたまま、呆れたように言った。うつ伏せだと、男性の一番の弱点はガードされていると思うのだけれど。
「……!」
『男性の一番の弱点』というところまで考えて、心臓が一度強く縮んだ。まさか——
「ええ、うつ伏せでいいんですよ。なにも『それ』に触るだけが、エッチなことじゃありませんから」
余裕を滲ませながら詩音がそう言って、うつ伏せの俺の腰の上に体重が乗る。
「!?」
温かくすべすべとした感触から、腰の上に乗っているそれが布ごしでは無いことが分かる。
「ふふっ。どうしたんですか先輩?もしかして……これだけでもう何かどきどきしてませんか?」
詩音はいたずらっぽくそう言うと、体重を前にかけた。背中に触れる温かさが広がっていき、肩甲骨の辺りにふたつ柔らかい感触が押し付けられた。つまり、裸の詩音が身体をぴったりと押し付けるようにして俺の背中の上に横になっている、ということだ。
「いいですよ?もっとどきどきしても。背中に意識を集中させて、先輩が大好きな私のおっぱいの感触を味わってください」
詩音は俺の耳元でそう囁くと、ついでとばかりに吸い付くように俺の耳たぶを咥えた。思わず身体がビクッと震える。
「ふふっ。ごめなさい。お耳が敏感な先輩には、ちょっと刺激が強すぎましたか?」
詩音はそう言うが、耳への責めを緩めることなく、耳を甘噛みして、穴が塞がるくらい舌先を激しく動かす。それから、俺の身体とベッドの間に手を差し込んで、胸の辺りをまさぐる。
「いっぱい気持ちよくなっていいですからね?まあ、一番触って欲しいところがおあずけで、切なくなってしまうかもしれませんが」
「〜〜〜!!!」
俺は枕に顔を押し付けて、熱い息が漏れないように堪えた。
ちなみに、もっと『他のこと』を期待していた、なんていうことは一切無い。失礼な。
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