第127話 体操着催眠
パァン
「……体操着に着替えて欲しい?」
俺の言葉に詩音は不審そうに眉をしかめた。
「何か?」
「……どうせまたよからぬことを考えてるんでしょう。先輩はえっちですから。まあ、体操着くらいいいですけど」
まだ怪しむような口ぶりではあるけれど、やれやれといった様子で詩音は応じた。
「よかった〜。はい、これ」
俺はそう言って、スクールバッグから体操着を取り出す。
「待ってください。なんで先輩の鞄から私の体操着が?」
「え?あはは〜、なんでだっけな?」
俺は頭をかきながら視線を逸らす。詩音の表情は不信感をさらに深めて、頬を膨らませている。数秒俺を見つめたあと、詩音はため息をついて言った。
「着替えますから、部屋から出ていてください」
言われるがままに、俺は詩音に背を向けて部屋から出る。しばらくして、ドアの向こうから呼びかけられた。
「どうぞ」
ガチャリ、とドアを開けて入る。部屋の中では詩音が、俺が渡した体操着を着て、所在なげに左腕を右手で掴みながら立っていた。
「どうですか?これで満足ですか、先輩」
呆れたように詩音が言う。俺は詩音の姿をじっくりと眺めた。半袖から伸びる細い腕、ゆったりとしたシルエットの中で確かに主張する胸、剥き出しになった太ももと脚。
「先輩、いやらしい目で見過ぎです」
そう言って詩音は身体を庇うように横を向く。たじろいだ俺を見て、詩音はため息を吐いて言った。
「まったく。こんなに興奮するなんて、先輩が体操着フェチとは知りませんでしたよ。体育の授業中に発情しないでくださいよ?」
「そう言われても、これは流石に興奮するでしょ」
言いながら、俺は視線を太ももに向ける。
「みんな着ている、普通の体操着じゃないですか。学校の制服のようなものですよ」
「いや——ブルマはそうじゃないだろ」
パチン。指パッチンで催眠を解く。
今日俺がかけた催眠は、『ブルマを学校指定の体操着と思い込む催眠』だった。
「え?」
驚きの声が漏れたのは俺の口からだった。催眠が解けたら、詩音は恥ずかしがってなんらかのアクションを起こすと思っていたのに、眉ひとつ動いていない。何故?まだ催眠が解けていないとか?
「先輩、少し目をつぶってください」
「え?あ、ああ」
混乱の中で、俺は言われるがままに目をつぶる。詩音が近づいてくる足音が聞こえる。
「えいっ」
詩音のデコピンがペチン!と軽快な音を鳴らして俺の額にクリーンヒットした。
「あうっ!」
目を開けると、膝に手を突いた詩音がジト目で俺を見上げていた。
「先輩。先輩が私にブルマを穿いて欲しかったのはよく分かりました。でも、それって催眠を使ってまでやることですか?普通に『ブルマを穿いて欲しい』って言えばいいじゃないですか」
その言葉に、しどろもどろになりながら俺は反論する。
「い、いや、普通に言ったら『何考えてるんですか、先輩の変態』って言われるだけだろ」
「そりゃ言いますよ。恋人にブルマ穿かせて喜んでるなんて、変態以外の何者でもないじゃないですか」
そう言いながら詩音は俺に背を向けて歩いて行って、ベッドに座った。それから少し見上げるようにして俺に言う。
「それで——変態な先輩は、見るだけで満足なんですか?」
「……え?」
言葉の意味が分からずに聞き返すと、詩音は顔を赤くしながら目を逸らして続けた。
「別に……触ってもいいんですよ?その……恋人同士、なんですから」
その言葉に、俺は目を丸くする。心拍数が急上昇するのを感じる。
「あ、ああ」
ぎくしゃくとした動きで、詩音の隣に座る。それから手のひらで詩音の太ももを撫でる。
「んっ」
詩音は小さく押し殺したような声で喘いだ。俺は、ベッドから降りて床にひざまずくような体勢になって、詩音の太ももにキスをした。
「せ、先輩!?触ってもいいとは言いましたけど、キスしていいとは言ってませんよ!!!」
「……だめ?」
慌てる詩音を見上げて俺が訊ねると、詩音は目を逸らして口ごもりながら言った。
「……だめ、とも、言ってないです……」
その言葉に、俺は詩音の両脚を押し広げるようにして、脚の間に座って内腿にキスをする。
「……先輩のエッチ」
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