第72話 後ろから催眠
パァン
「……これは?」
トランス状態から目を覚ましたが、後輩の詩音の姿がない。立ち上がって探そうとしたが、足が動かなくてベッドから立てない。と、考えていると、背後から2本の腕がにゅっと伸びてきた。
「こうすればよかったんですね。盲点でした。」
耳元でこの催眠の主、詩音がそういった。どうやら身体拘束系の催眠のようだけれど。
「盲点、と言うと?」
「いくら先輩がエッチでも、こうやって動けなくしてしまって後ろから抱きつけば手も足も出ないですよね。一方的に責められるというわけです」
その言葉に、俺は呆れてため息をつく。
「お前なぁ」
「先輩、平静を装っていますけど、耳真っ赤ですよ?私の胸の感触を、背中でちゃっかり堪能してますよね?」
「うぐっ!」
俺の反応に、詩音は堪えるように笑うと、唇で耳たぶをついばむように咥えた。
「しぇんはい」
舌先で耳を弄びながら、甘い声で俺を呼ぶ。肩から回された両腕で、胸の辺りをまさぐる。
俺はぎゅっと目をつぶって、熱くとろけるような快感に耐える。詩音の唇が首筋に移る。一度引っ込んだ両腕が、脇腹を擦ってシャツの中に這入ってくる。お腹をさわさわと撫でて、乳首をかすめる。
「んっ!」
「先輩、乳首で感じちゃう男の人なんでしたよね。ほらほら、我慢なんてしないでもっと気持ちよくなっていいですよ。かわいい声も出しちゃってください」
詩音の声と手が、両方調子に乗ってくる。左手で胸に抱きつきながら、右手がへそを通過して真下に下りてくる。思わず肩がビクッと震える。
「そこっ、カクヨムじゃダメなところ……!」
「ふふっ、よいではないか、よいではないか〜。ズボン越しなんですし」
セクハラ親父というか、悪代官みたいな口調になってるぞ。というか、これはまずい。まずいことになりかねない。そう考えながら俺が荒く息をしていると、詩音の体温がふっと離れた。不意を突かれて目を開けると、太ももの上に詩音の体重がぽすん、と乗った。
「詩音?」
首を傾げる俺の両頬に、詩音が手を添える。
「先輩、とろけたお顔、もっとよく見せてください。……先輩の大好きな、キス、してあげますから」
そう言って詩音は、目を閉じて唇を寄せた。唇が重なる。舌が触れ合う。舌が絡み合う。熱い、深いキス。どれくらい経っただろう、唇を離した詩音は大きく息を吸うと、ふんっと満足げに鼻を鳴らした。
「先輩」
切なげな声でそう言って、もう一度顔を寄せる詩音の背中に、俺は腕を回してぎゅっと抱きしめた。目を丸くする詩音に耳元で囁く。
「正面に来たら俺からも触れるって気づかなかったの?」
「そ、それは——全然気付きませんでしたね。盲点でした」
詩音は棒読みでそう言って、抱きつく力を強くして首筋にキスをした。俺は詩音のワイシャツの下に手を滑り込ませて、背中をまさぐる。
「んっ」
詩音が小さく喘ぎ声を漏らす。俺はそのまま背中にあるブラのホックを外して、詩音の胸を下からすくいあげるように揉む。すでに固くなっていた乳首を二本の指でつまむ。
「せんぱい、触り方やらしいです。せんぱいのエッチ」
「さっきまで詩音がやってたことだろ?」
「んっ!そこはっ!カクヨムじゃダメなとこ!」
「よいではないか、よいではないか」
詩音は目を潤ませながら、身体を震わせる。それから耳に唇が触れるくらいの距離で囁いた。
「いいですよ、先輩がその気なら。私も我慢なんてやめて、カクヨムじゃできないことしちゃいますから」
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