第36話 感度増強催眠

 パァンッ


「先輩。今日の催眠はなんですか?かける前から服を脱がされたんで、さすがに恥ずかしいんですが」


 下着姿の詩音が、両腕で体を庇うようにしながら尋ねた。頬が少し紅潮していて色っぽい。


「今日は、かなりオーソドックスな催眠だな。『感度増強催眠』。つまり、詩音の身体が敏感になる催眠だよ」

「おお!いいですね。それで、どれくらい感度を強くしたんですか?」


 詩音が目を輝かせる。ノリノリかよ。俺は少し斜め上を見上げながら、右手の指を親指から順に折る。小指まで全部折って、えっと—


「32倍」

「指折ったのなんだったんですか!?」


 詩音が前のめりになってツッコむ。重力が詩音の胸を強調する。


「まあまあ」

「まあまあって……。中途半端ですね32って。2はどこから来たんです?それに、感度増強としては桁がふたつ足りないような」

「いや、3000倍だと別の話になるからな?それ普通の人間じゃ耐えられないヤツだから。それに——」


 ローテーブルを回り込んで、手が届く距離に座る。頬に手を添えると、詩音が驚いたように目を丸くした。


「32倍でも、十分だと思うけど?」

「先輩、これ、じんじんして——」


 戸惑う詩音の顔を引き寄せほっぺに口づけをした。


「せんぱっ!やわっ!」

「ふふ、もうそんなに感じてるの?——くち、ふにゃふにゃになってるよ?」


 耳元で囁くと詩音は身をよじる。


「みみぃ!らめぇっ!」


 逃げられないように強く抱きしめると、それにさえビクッと反応する。それから詩音の耳たぶを唇でくわえる。唾液のいやらしい水音を立てながら詩音の耳を甘噛みし、耳穴を舐める。詩音が身体を反らせる。


「あぁっ!あっ!」


 ひとしきり舐めおわって、少しだけ腕を緩めて身体を離す。詩音はぐったりした様子で荒い息をしていた。


「ひぇんぱい……しぇんぱい……」


 目にはうっすらと涙が溜まって、悩ましい顔になっている。頭の後ろに添えた手が気持ちいいのか、とろけた顔だ。


「……カクヨムで、行けるところまで行っちゃおうか」


 俺はそう呟くと、詩音の首筋にキスをした。


「っ〜〜!!!」


 それから俺は唇を下ろして鎖骨にキスをした。そのまま下着に隠れていない部分を、R15で触れていい場所全てにキスをする。胸の谷間、脇の下、腋と胸の境目。


「あぁん!」


 詩音が床に倒れる。俺はそのまま覆い被さるようにキスを続ける。右手は、触れるか触れないかの力で詩音の身体を撫でる。くすぐったいのか詩音は激しく悶えるが、逃げ出しはしない。快感をむさぼっている。


 キスを続ける。脇腹にキスをして詩音のあばら骨を感じる。鳩尾にキスをする。激しく上下している。唇の間から僅かに舌をのぞかせて肌をくすぐる。お腹、おへそ、おへその下。激しく暴れる脚の間に入って、鼠蹊部。目の前にパステルカラーのパンツ。布越しでも女の子の匂いが強く主張している気がする。脱がさないと汚れてしまうかもしれないと思ったが、運営に怒られかねない。詩音、ごめん。ふとももの付け根にキスをする。


「あっ!えぅっ!」


 だいぶ前から詩音は語彙力を喪失していた。内腿にキスをして、頬ずりをする。そして、右手をふとももから脇腹へと這わせながら、覆い被さるように体勢を変えて詩音と目を合わせた。


「もう、限界かな?」


 詩音から返事はなかったけれど、顔を見ればそれは明らかだった。俺は詩音に顔を寄せる。


「ひぇんはい……てぇ……」


 詩音が絞り出すように言う。少し驚きながらも、左手を詩音の手と恋人繋ぎにする。そして、右手を詩音の頭に添えながら、のしかかるようにしてキスをした。深い、深いキス。舌が絡まる。手を握る力が強くなる。


「っ〜〜〜!!」


 俺の下で詩音の身体が強く跳ねる。やがて、小さな痙攣を残して詩音の動きが止まった。唇を離すと、詩音は荒い息をして、ぐったりと脱力していた。


「気持ちよかったね」


 俺は詩音の髪を撫でながら言う。


「少し、深呼吸をして落ち着こうか。吸って、吐いて——」


 俺が誘導すると、詩音は素直に従って深呼吸する。


「今から10数えると、意識が深いところに沈んでいくよ。目が覚めたときには、かかっていた暗示は全部消えて、すっきりと目覚めることができる。10、9——」


 すでに疲れ切ってぼんやりとしていた詩音に睡眠導入をする。


「——2、1、ゼロ。意識が沈む、沈んでいく」


 詩音の首がこてんと倒れ、最後に残っていた力が抜ける。詩音が穏やかな寝息を立てる。それを見届けてから俺は一度大きく息を吐いて、立ち上がった。詩音は気持ちよくなれたかもしれないけど、俺はまだだった。それにあんなにエッチな姿を見せられて、我慢できるはずがない。


「よし——シコるか」


 俺は詩音の家のトイレを借りることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る