26話 オーク
第4層は、オークの巣窟だった。
オークは豚の様な見た目の2足歩行の大柄の魔物だ。
サイズだけならオーガよりも大きかったりする。
「リン。オークは動きは遅いけど、かなりしぶとい相手だからビーム主体で狩って行こう」
彼らは鈍足ではあるが、パワーと生命力に優れている。
特に生命力は凄まじく。
ショートソードで倒そうとすると、かなりの手数が必要になって来るだろう。
相手の動きが遅いとはいえ、攻撃を仕掛け続けるのは消耗が激しくなる。
ダンジョン攻略である以上、こんな所での消耗は避けたいのでビーム主体で狩っていく事をリンに提案した。
「うん、わかった」
「ぶひぃぃぃ!」
オークが豚みたいな鳴き声で突っ込んできて、やたらめったら棍棒を振り回す。
但し動きは早くないので、リンは容易くそれパリィする。
「喰らえ!」
リンが切りつけた所でビームで処理。
これを繰り返して僕達は先に進む。
パワーがある為オーガと同じ20発でゲージは溜まるけど、このやり方だと時間がかかってしまうのが難点だ。
お陰でエリアボスの場所に辿り着くのに3時間もかかってしまった。
「あれ?3匹居るよ」
ボスの間を覗き込み、リンが声を上げる。
これまでのボスは単独だったけど、今回は違った。
魔法陣の上には3体のオークが陣取っている。
「なんか、雌っぽいね」
中心に居る一番大きなオークは、胸の部分が膨らんでいた。
オークは全て腰蓑を身に着けている為股間の違いは分からないけど、多分雌で間違いないだろう。
手にしている武器も棍棒ではなく鞭だ。
残り二体はオークの角突き。
手にしている武器は3つ股の槍だった。
「角突き2体にメスが1体か……ここから一気に難易度が上がるみたいだね」
僕は迷う。
ボス系は経験値がかなり多い。
リンの成長の為にも1回づつ攻撃させて、それからビームで始末するのが理想なのだが……動きが遅いとはいえ、強力な魔物3体同時は少し厳しい気がする。
「ビームで2体先に倒してしまおう」
「うん」
安全面を優先する事にした。
レベル上げは別に他でもできるし、ダンジョン攻略中に無理をする必要は無いだろう。
「喰らえ!」
遠距離からビームを2連打する。
2体のオークは音も無く消滅し、そして――
「あれ?消えちゃったよ?」
「たぶん、あの雌が本体だったんだよ」
雌オークを消し飛ばしたところで、最後に残った角突きが光の泡になって消えしまった。
これは推測だけど、あの雌だけがボスで、槍を持った角付きは召喚か何かだったに違いない。
「そうなんだ」
リンが目をぱちくりさせる。
説明が簡素過ぎて、よく理解できていないのだろう。
長々と説明するのもあれだし、まあそういう物だと覚えておく位でいいさ。
「少し休憩していこうか」
「うん、そうだね」
リンは床に座り、バックパックからドライフルーツ取り出し口に放り込む。
女の子だけあって甘いものが好きなのか、もむもむと口を動かしその表情は凄く幸せそうだ。
「おいしー」
「あんまり食べ過ぎちゃだめだよ」
荷物は重くなり過ぎない様、厳選して6日分詰め込んである。
行きにに3日。
帰りに3日の予定だ
出来れば好きなだけ食べさせてあげたいけど。
余分な物は積んでいないので、余り間食で食べ過ぎると予定が狂ってしまう。
「はーい」
リンはもう一口分食べるとバックパックに直し、立ち上がる。
「まだゆっくりしてても大丈夫だよ」
「座ってると、もっと食べたくなっちゃから」
リンが照れ臭そうに笑う。
「それに全然疲れてないし、大丈夫だよ」
そう言うと僕を抱き上げ、リンは第5層へのスロープを下って行く。
個人的には疲れが出たら休憩するより、疲れが出ない様に休憩するのが理想なんだけど……まあ元気そうだしいいか。
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