7話 自己紹介

僕の名前はサイガ。

大好きなリンのパートナー兼盾を務める……人形だ。

今日は僕の事を紹介しようと思う。


まずは僕の見た目だ。

熊の様な体に、サイの様な頭の乗った珍妙な見た目をしている。

熊さん人形の首だけをサイに挿げ替えたと言えば分かりやすいだろうか。


これはティティス様の遣いとされる聖獣の姿を模した物だった。

何せ僕はティティス教の教母様の手によって作られ、その過程で貴重な神石であるティティスの欠片を使用されている。

そう考えると、このデザインに落ち着くのは必然ともいえるだろう。


まあ正直、あんまり女の子受けする見た目ではないが、リンは僕の事をキチンと可愛がってくれている。

見た目で差別しないリンは、本当に天使みたいな女の子だ。

ますます好きになってしまった。


しかしどうでもいいけど、聖獣のデザインって女神様が生み出す時に決めた物なのかな?

なんの親和性も無い動物の見た目を掛け合わせるとか、いくら何でも適当すぎやしないだろうか。

そう考えると、ティティス様は案外いい加減な性格をしているのかもしれない。


まあこんな事言ったら、ティティス教の人達に酷い目に合わされそうだから口にはしないけど。

って、それ以前に僕は喋れないんだった。


ははははははは、はぁ……リンとおしゃべりしたいなぁ……


レベルを上げたらそう言ったスキルも習得できない物だろうか?


さて、次は名前だが

これは聖獣の名前を弄ってリンがつけてくれている。

聖獣の名はサイベアー……女神様……ドストレートすぎだろ。


で、まあそこからサイを取って呼びやすい様に語呂を良くして出来たのが、僕のサイガって名前だ。

サイベアーの100倍くらいかっこいい。

流石僕のリンだ。


現在僕のレベルは2。

オーガの一撃を防いだ経験でレベルアップして以降、全く上がっていない。

一応リンがスライムを狩る度に僕にも経験値は入っている様だが、僕は相当レベルが上がり辛い様だ。

まあゲームとかでも、強キャラはレベルが上がりにくかったりするからしょうがないね。


僕の能力は全部で三つ。

一つは神器としての力だ。

僕の体には女神ティティス様の幸運の加護が秘められていて、リンにかかっている呪い――ベリーネの不幸の祝福――を抑える効果がある。

僕がリンの側に居られる最大の理由がこれだ。


二つつ目は、転生時に貰った全ての攻撃を無効化して弾くという物だ。

これは物理攻撃は元より、魔法や呪いの類も弾き返す。

この効果で僕は今、彼女の最強の盾と化していた。

でも見た目は只の人形だから、彼女の戦闘シーンを目にした人間にはさぞかし奇妙に映っている事だろう。


因みにあくまで弾き返すだけなので、既に掛かっている呪いを解いたりする事は出来ない。

そもそも呪いと呼称しているだけであって。

内容は兎も角、リンのそれは神様からの祝福に当たるので、そもそも弾き返す対象にはならないだろう。


最後は目っ殺ビームアイズビームだ。

敵の攻撃を受ける事でゲージがチャージされ、最大3ゲージ分ストックできる。

動けない僕にとって、リンを守るための切り札と言えるスキルだ。


「はー、すっきりした」


部屋の扉が開かれ、中からリンが現れた。

その髪は濡れており、頬は上気していた。

風呂上がりの彼女は凄く可愛い。


「お待たせ、サイガ」


そう言うと彼女は僕を抱きしめる。


僕も一緒にシャワー浴びたかったなぁ……


あ、言っておくけどこれはいやらしい意味ではないよ!

シャワーを浴びている時、変なアクシデントに見舞われたら大変だからそれを心配しての事だ。

本当だよ!

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