第59話 解決策
寮に帰って俺は考えていた。
「あー、どうするべきだこれ。まさかの展開だったわ。油断してたわ。あー、わー、無理。俺は無理。男は俺は無理だから。新は好きかもしんないけど、けど、いくらなんでも無理なものは無理。うん。」
とにかく現実逃避をした。
部屋に備え付けられているキッチンで軽食を作りゆっくり食べて、終わったらゆっくりお風呂に入る。
ほんとにゆっくり。
じゃなきゃずっと考えてそうだから。
わかってる。考えても仕方ない。
キッパリ断るべきだと。
でも告白すらされてないのに断るって自意識過剰じゃない?
…いや、待てよ。
ここで俺がOKすれば杏様の選択肢の数が減るのでは?
俺から好きになった訳じゃなくて、魁斗から好きになったんだし、今回魁斗はあんまり出ないし。
そうだよ。
今回は紅秋さんルートってことは杏様の好意を完全に紅秋さんに向ければ、ハッピーエンドに行くのでは!?
俺は馬鹿か!
今までずっと悩んでいたが、その人だけに好意を向ければ済む話だった!
俺は馬鹿かぁ!!
ベッドの中でのたうち回り奇声をあげる。
ベッドのスプリング音が部屋に大きく響く。
こんな表現は普通はエロい事してる時に使われるんだろうけど、思わず体全体で喜びを表現してしまったんだから許して欲しい。
決して1人でエロい事しながら解決策思いつた訳では無い。
「よっしゃー、寝よ。明日に備えて寝るべし!」
そうは言ったものの興奮が止まらない。
「ん?何か忘れてる気が…、まぁ、いっか。」
そのまま目を閉じゲームのことを思い出しながら眠る。
紅秋さんルートではとにかくヤンデレだ。あ、紅秋さんが。
束縛が激しくなりそれでも愛を感じる杏様は少しずつそれを受け入れる。
戦争が始まるとこれを機にと紅秋さんは杏様を苦しめた新をわざと自分の盾になるような場所まで誘い出す。
そして新は攻撃に見事直撃。
そのまま死ぬ。
そんな新をなんとも言えない顔で遠くから見ていた杏様。
戦争の時、新は1度も杏様に近づけたことがなかった。
だから、戦争に入る前に俺は杏様と仲良くならないとそのまま死ぬ。
戦争に入るときには既に恋人同士で、選択肢も簡単であと1回くらいしか無かったはず。
ならばその直前に和解して仲良くなるのが1番いいタイミングのはずだ。
今回は行けるかもしれない。
俺は今度はニヤケながらいつの間にか寝ていた。
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