第60話 ツボ
おはよう太陽。
おはよう朝日。
どっちも同じ意味だけど。
てことで、今日も元気に1日を過ごそう。
「あっくーん?死んでるよー?」
教室の机にダランと突っ伏しているとたっくんが苦笑いで話しかけてきた。
俺は教室中を見渡して杏様がいないの確認してたっくんへ小さな声で話す。
毎回のこと俺らの周りに人はいないからこういう時は楽だよな。
「たっくん俺思ったんだよ。今回紅愛さんルートってことは杏様が他の奴らに目移りしないよう、俺らが注意をそらさせるべきでは無いのかと。」
「それってつまり、紅愛さん以外の人たちの注意を俺たちに向ければいいの?無理じゃない?」
「それが無理じゃなかった。」
「どういうこと?」
「多分だけどさ、魁斗俺のこと、新のこと好きなんだよね。」
「えっ!?」
たっくんが大声で叫んで飛び退くと周りの子達がそれにびっくりしてさらに飛び退くっていうなんか伝染が始まった。
それを見て俺は思わず面白くて笑うと周りの生徒はそれを見てうっとり。
いや仕方ないよ?俺の顔がいいのが悪い。
でもね、うっとりっていうか、気が抜けたアホ顔みたいだからやめて欲しい。
余計笑っちゃう。
最近ツボ浅くなってるのかな。
「多分って、なんかそう思うような出来事あったの!?」
俺は笑うのを何とか抑えてたっくんと話に戻る。
「いや、それがさ昨日ね、ふふっ、寮に帰る時ふっ、魁斗とばったり会ってちょっと話してたんだけど、なんかさ、雰囲気とか、態度?っていうの?他の子達とは違ったんだよね。ふはっ、あと、あの顔を見ればわかる。」
「つまりは感なわけだねー。でも確かに魁斗のことが本当なら、いい案だとは思う。あと、いつまで笑ってるんですかね?そんなに面白く無かったけどなー。」
「正直、俺は杏様にこれ以上嫌われると、最終的に戻れない気がするから、ってのもある。」
「既に遅い気もするけど、確かに、これ以上は関係を修復するのは厳しくなりそうだよね。まぁ、俺は賛成するよ。その案。」
「たっくんの場合は杏様よりもレオンと仲良くなりたいだけなんだろうけどねー。」
「言うなよ!」
たっくんは顔を少し赤くして俺の頭を軽くチョップした。
とりあえずこれ以上杏様に嫌われるのは嫌だし、魁斗が俺を好きになった時点でまたズレが起きるはず。
原作ではどのルートでも魁斗は必ず杏様を好きになるから。
この時点で、原作通り進めるという案は消える。
そうするともう自分たちで導くしかないのは分かる。その解決策が以外にも簡単なことかもしれない。
「ふふっ。」
「まだツボってるんかい!」
たっくんのナイスツッコミは教室で大きく響いた。
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