第57話 優しさ

優雅に星を眺めて物思いにふけっていたら後ろから返事が返ってきた。


びっくりでは無い。

恥ずかしいのだよ。


1人でちょっとかっこよく語ってたのにそれを聞かれてなんか入ってきたし。


「なんでいるの?てか気配消して近づかないでよ!」


「ごめんねー。なんか楽しそうに独り言言ってたから邪魔しちゃ悪いかなーって。」


「じゃあ話しかけてくんなよ!」


「ナイスツッコミ。」


「で、なんでいるの?」


「なんでって、聞くの?」


そう言って両手を広げる魁斗。

その服は前は全開で所々に赤い痕が見える。


「1日何人と…いやいい。言わないで。」


「新は純粋だよね。心配になるよははは。」


「節操なしが。」


「健全な男子高校生だからね。僕は。で、さっき言ってた元の世界って何?女子ってのも気になるなぁ。教えてよ新。」


そう言って顔を近づけてきて逃げられないような笑顔でしっかりと目を合わせてくる。

まぁ、目は笑って無いけど。


「俺そんなこと言ったっけ?」


「…ふーん。あの写真がポロッと誰かに拾われることになるかもしれないけどいいかな?」


こんなことでもこれで脅してくるか!


ほんと厄介な人に弱みを握られたもんだ。


「あー、わかった!言うから!俺は本当はこの世界の人間じゃなくて、別の世界から来たの。で、俺の世界には女子、女っていう性別の人間がいて男と女の間に子供ができるんだけどその作り方ってのが…ってここまで言わなくてもいいか。」


だいたい性別を知らない人種に性別の説明しても無理か。


「ふーん。嘘じゃないらしいね。あまりにも馬鹿なことを言うものだからつい能力使ってしまったよー。」


「まぁだろうな。あ、そういえば、視察の件、俺はいつ行けばいいわけ?てか俺一人って死ねってことかな?いじめ?」


「あー、その事なんだけど、僕も行くから大丈夫だよ。」


え?


「誰も1人で行けなんて言ってないからね。さすがに慣れてないやつを単独で行かせられるわけないでしょ?」


「…魁斗って俺に大してそんな優しいやつだったっけ?」


「やだなぁ。僕はいつも新に優しくしてるでしょ?」


「はいはい。じゃあとりあえず視察行く時はちゃんと前もって連絡してよね。」


「新こそ、最近僕に冷たいよね。前はもっと魁斗魁斗って感じだったのに。今では拓ばかりだよね。」


「なに?嫉妬?」


俺はわざと挑発するように魁斗を見て少し口角を上げてそういうと意外な返事が返ってきた。


「そうだなぁ、僕は新のことが一番だから。」


俺は思わず固まった。


魁斗はそんな俺を見てクスクス笑っている。


「今日のキスで分からなかったかな?それならもう1回試してみる?優しくするよ。」


そう言うと同時に魁斗が俺の腰を引き寄せ身体が密着する形になった。


いやぁ、これはやばい。色んな意味でやばい。

前が開いている魁斗の肌の暖かさが直に感じて少し恥ずかしい。



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