第54話 プレッシャー
「で、なんで俺なの?」
「そらりゃぁ、新のこと信じてるから。」
「…わかんないの?」
「なんのことかな?」
「 はっきり言わなきゃわかんないの?魁斗。内通者が誰か、わかんないのって聞いてんの。」
「…。」
「で、どうなの?」
「分からない。なかなかしっぽを出してくれなくてね。ただ、絞れてはいる。確証がないだけだよ。」
俺はあの手紙を貰って直ぐに生徒会室へ戻った。
そして条件を飲みもう一度二人きりで話すことにした。
優斗は内通者のことは知っているらしく一緒に話をしたいと言っていたが催眠魔法の件は知らないため出てもらうことにした。
教会直属の視察団は国の信頼と共に成り立っている。
教会は国に忠誠を誓っているため今回の内通者の件は大きく響くだろう。
教会の信用が無くなるという訳だ。そうなるとどうだ。教会で1番力を持っている魁斗が責任を負うことになる。
そうなる前に俺に嘘偽りの無い情報を持ってこいと、信用を保つために。
そしてあえて俺を選んだのには。
「内通者が複数いるんでしょ?だから唯一小さい頃から一緒に居る俺を視察へと送ろうと?」
内通者が1人ならわざわざ俺を使う必要が無い。
既に敵は数人この国に入り込んでいる。
「正直僕は教会がどうなろうがどうでもいい。だが、僕自身の信用を失われてはとても困る。この力は唯一の力。この国が俺を敵に回せば、この世界の全てを敵に回すことになるだろうから。それだけは避けたい。ほんと、嫌な運命だよ。」
なるほど。これは、俺をよっぽど信用しているということでいいのかな。
別に捨て駒って訳では無いのかな?なんて思っちゃったりした。
「…任せろとは言えないけど、魁斗には借りがある。やるだけやってあげる。でも、失敗したらどうすんの?」
「え?失敗?それはもちろん、催眠魔法のことみんなにバラして心中しようね。」
「死ぬんかい!」
「もちろん!愛の逃避行も素敵だけど、多分無理だろうからね。」
なんてウインクして言ってくるこいつ、ほんと、プレッシャーだよな。
「新、これには僕たちふたりの命がかかってるから。よろしくね。」
「はいはい。ったく、全部終わったら覚えててよ!?」
俺がそう言って生徒会室を出ようとした時後ろから手が伸びてくるのが見えた。
その手は俺の目を覆うと次に来たのは唇の感触。
すぐにわかった。
あ、キスされた。
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