第47話 護れなかった後悔

目を覚ませ─




そう聞こえた気がした。


「誰っすかね。俺の安眠邪魔してるのは。」


『おい!起きろ!』


「うるせぇ!!寝かせろ!!」


『…わかった、おやすみ。て、そうじゃない!』


「…次大声出したら、本気で怒る。」


『ひぇっ…、ま、また明日話すとしよう。』


いや、わかってますとも。

クロノが何か言いたいこともわかっていますよええ。もちろんですとも。だって相方ですから。


でも、今何時?

夜中の3時ですけど?普通の人は爆睡してる時間ですけど?


脳内に響いた声のせいで完全に目覚めた俺は1度は拒否したクロノに話しかける。


「で、杏様にちゃんと保護術かかってるの?」


『え?あ、あぁ。私の力に不可能はないからな。』


「そっか。」


俺は自分自身では杏様を守れないことがわかっているからこそ、クロノに相談して、緊急時のみ発動する氷式のバリア魔法を杏様にこっそりかけておいた。


ほんと、何があるか分からないから、よっぽどの時しか発動しないけど。


命の危険とか…


過保護なのかもしれないけど、前回守れなかった後悔があるから、少しでも杏様に危険がないようにしてあげたい。


『それと、新、その、1つ問題があったんだが。』


「なに?」


『…あの杏という男、不思議な力が働いている。私たち精霊ではどうにも出来ない力だ。どう影響しているのかは分からないが、というか、もはや影響するのかすら分からないが。』


「力…ね。」


『新、気をつけておいた方が良い。』


「言われなくても、前回で充分思い知ったからね。」


『前回?』


「なんもなーい。で、クロノのせいで目が覚めたんだけど、話しに付き合ってね。」


『えっ…わかった。』


それから俺はずっと一方的にゲームの話やら、BLの尊さやら、好きなタイプについて語った。


ちなみにクロノはずっと、「あぁ。」とか、「そうか。」しか言っていない。


オタクの会話についていけない一般人のようだった。


気がつけば朝日が昇りカーテンの隙間から光が差し込んでいた。


俺はベットから立ち上がり寝室を出る。


さぁ、今日も1日頑張りますか。

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