第41話 スタート地点
資料には7月の編入生の件について、と書かれており色々と情報が載っていた。
「この時期に編入生として来るってことは、今回は…。」
「うん。紅秋さんルートかもね。」
他の人のルートは少し違う始まり。
それは紅秋ルートにしかない始まり方だったから鮮明に覚えている。
7月7日、流れ星を見ていた紅秋さんの視界にキラキラとした杏様が映る。
この時、紅秋さんは杏様に心を奪われる。
「ねぇあっくん。紅秋さんルートって確か…。」
「嫌だねほんと、1番苦労するよ。」
「7月7日、会わせないようにしなきゃ。」
「…会わせた方がいいかも。」
「え?」
俺の返答が意外だったのかたっくんは目を大きくしてこっちを見ていた。
「紅秋さんって、あの人束縛タイプだよね?ヤンデレとも言うけど、それを利用しようと思う。」
「どういうこと?」
「杏様には悪いけど、俺たちが紅秋さんに協力して杏様の行動範囲とか制限できないかなって。そしたら下手に動いて死んだりしないかなって。思ったんだけど…。」
「なるほどね…、確かにそうかもしれないけど、下手したらまたバッドエンドだよ?」
「大丈夫。上手くいくよ。」
束縛タイプの人は常にその人の行動、交友関係、生活を知りたがる。そして制限したがる。普通の人だったら、そこまでするか?と思うようなことを紅秋さんはする。けど、だからこそ杏様を守れるかもしれない。
杏様が逃げ出さずに紅秋さんと向き合ってくれればの話だが。
俺は賭けようと思った。
「あっくん…。わかった。でも、無理はしないで。俺達が死んだら本末転倒だから。」
「うん。分かってる。」
いちばん厄介なルートに入ったのかもしれない。けど、今回は前回と違って初めから誰のルートなのかがわかっている。
バッドエンドの回避方法と、ハッピーエンドの選択肢はわかっている。
今度こそ、ハッピーエンドへ。
1人で意気込んでいると、たっくんが思い出したように尋ねてきた。
「そういえばさあっくん。前回のやつ、杏様っていつ魁斗と接触してたんだろう。」
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