第39話 腐仲間
「改めて、俺は拓として2度目の人生を…今回で3度目か、を歩むことになった転生者だ。前世の名前は柿本 拓海(かきもとたくみ)だった。」
俺の部屋に帰って2人でお茶を飲みながら自己紹介をすることになった。
「俺はこの新に転生した原田 新(はらだ あらた)だ。元の世界では高校生だった。あとこのゲームが大好きでずっとプレイしてたなぁ。」
「俺もだよ。誰推し?」
「もちろん主人公の杏様。」
こんな話がまたできる日が来るとは。
「だからあんなに杏様杏様だったんだね。」
「そう言う柿本さんは?」
「たっくんでお願い。もう俺は拓海じゃないから。俺はレオンかなぁ。」
「あんな浮気者が?」
「レオンルートでは一途だったじゃん。」
「そうだね。あ、そっか、だからレオンと喧嘩する時いつもちょっと顔赤かったんだ。いいね、応援するよ。」
「は!?いや、別に好きってそういう意味じゃ!!!」
「またまたぁ、隠さなくてもいいのにー。」
「ほんとに違うってば〜。」
「あはははっ!…久しぶりにこういう話したなぁ。もう出来ないと思ってた。」
「ふふっ…ほんとに、新って一応ゲーム内では悪役っていうか、嫌われ役だったから、ちょっと心配だったけど、普通に楽しかったなぁ、校内探索とか、鍋囲んだりとか、お泊まりとか…元の世界ではやったこと無かったから。」
そうか、この子も俺と同じだったのか。
「俺も、たっくんと杏様と過ごした時間が今までで1番楽しかった。」
俺達はそう言って向かい合い顔を合わせて笑った。
小さいけど、とても長く、笑いあった。
「明日、杏様が来るね。どうする?」
「とりあえず、バッドエンドだけはどうにか回避しないとね。明日のことは明日考えて、今日はもう寝よう?」
俺がベッドに入ってそういうとたっくんも俺のベッドに入ってきた。
俺は何も言わず少しだけ端に移動した。
するとたっくんは俺の手を取って強く握ってきた。
その手は冷たくて、少し震えていた。
覚悟はしたものの、怖いものは怖い。
「大丈夫。」
そう一言言ってたっくんの手を握り返すと、たっくんは少し安心したのか、うんと笑ってゆっくり目を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます