第36話 突然の
※残酷シーンが含まれます。「◇」で表示される所まで苦手な方は飛ばしてください。
「なん…だよ…。」
俺が目にした光景は、言葉に出来ないものだった。
学校の屋上には無数の死体の山。
それは明らかに見た事ある人たちばかりで、誰一人動くことはなく、辺りは赤く染っていた。
「あれ、まだいたんだ。神の使いで最後かと思ったけど、てか、君学生だよね?」
後ろから声が聞こえ振り返った瞬間、鋭い攻撃が俺の身体を通過した。
構えようとして違和感を感じる。
「あ、うそ…でしょ…う、腕が…。」
俺の右腕はすっぽりと消え、赤い血が滴り落ちていく。
瞬間鋭い痛みが身体を襲った。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!痛いっ!痛い痛い痛いっ!!!」
その場でのたうち回り叫び散らした。
今まで経験したことの無い痛みに俺は混乱して泣きわめく。
それを見ていた男は楽しそうに笑っていた。
「あっはははは!踊ってるみたい!!左腕を落としたら違う踊りを見せてくれるのかなぁ?やってもいい?」
俺はかろうじてその声が聞こえた。
いい訳ねぇだろ!聞くな!
声にはならず脳内で反抗するが気づけばまた攻撃された。
今度は左腕を狙われる!そう思って避けたが今度は足に鋭い痛みが訪れる。
恐る恐る見ると右脚の膝から下がなかった。
「あがァァァァっ!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!!」
「あはっ!騙されてるー!!すっごく面白いっ!!それにしても君、直ぐに死なないからいいね。楽しめそう。他の人なんかすーぐ逃げ出したり、自殺するんだから、あんまり面白くなくてさぁ。」
男は続けて攻撃してきた。
このままでは殺されるどころか、嬲り殺しだ。完全に遊ばれていた。
「クロノォ!!」
俺は咄嗟に自分の中の精霊に呼びかける。
すると、目の前には大きな氷の盾ができた。
だが、魁斗にも盾を使ったせいか、直ぐに壊された。
「こんな弱っちい魔法じゃだめだよ。もっとこうやって、強い攻撃しなきゃね!!」
そして繰り出された攻撃は一目見て死ぬと悟った。
「新ぁあああ!!」
◇
あまりにも早すぎる攻撃に俺は何も出来ずただ呆然と立ち尽くしていると、修復を終えた魁斗が攻撃を防いだ。
「あら?もしかしてもう修復しちゃった感じ?遊んでたら今度は俺が出られなくなっちゃったよ〜。あ、でも、だんちょーがまた壊してくれるし、大丈夫か!ねぇ!!君!少し遊ぼう!!」
男はターゲットを俺の隣の魁斗に移したらしく素早い攻撃を繰り出した。
「俺にかなうと?」
「君、防御壁の修復でかなり魔力使ってるでしょ。それだったら俺が勝っちゃうよ〜?」
そこから更に攻撃の連続。
相手は長時間攻撃をしているにもかかわらず、魔力が衰えることがなく、攻撃力も変わらない。
攻撃をずっと防いで俺を守ってくれていた魁斗が俺たちの周りに小さな防御壁を張り俺の腕と足を見るとかなり痛そうな顔をした。
いや、なんであんたがそんなに痛そうな顔してんの。
「新、俺がこいつを引きつける。自力で中に入れるか?レオンに言えばその腕と足はどうにかなるだろ。」
魁斗の口調はいつもの優しい口調ではなく、ネコが剥がれた時の口調になっていた。
「んー、微妙かな。ねぇ魁斗、ひとついい?」
「なんだよ。」
「やっぱり無理。」
そういうと俺は意識がなくなり高い空から急降下で落ちていった。
脳内では死ぬなこれ。と思いながらも意識は戻らない。
俺は死なないために杏様と仲良くなって、杏様の幸せを見届けながら生きていくために必死に解決策を探してきたのに、結局これじゃあ意味無かったな。
耳には微かに肉を割いた音が聞こえた。最後の力を振り絞ってその場面を見るとそこには魁斗の姿はなく、立って笑っていたのはあの男だった。
このまま死ぬ覚悟をして原作を思い出す。
あぁ、新が死ぬ描写が無かったのって、主要キャラが死ぬ方がインパクト強いからか…
本当は新もこの戦争の時、魁斗と同じタイミングで死んだのかな。
それがわかって俺は完全にブラクックアウトした。
助けに行っても結局死ぬのなら、杏様の腕の中が良かったなぁ。
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