第35話 信頼

敵に襲われながらも何とかかわして防御壁のところにいた魁斗の元へたどり着いた。


「魁斗!!」


俺が名前を叫ぶとそれに気づいた魁斗は防御壁の修復を続けながら驚いた後に怒った。


「新!!なんでここにいるんだよ!!今すぐ戻れ!!ここはもう戦場だ!!」


「わかってるよ!!魁斗、今すぐここから離れて!!」


「それは無理だ!!防御壁の修復をしないと!!」


「魁斗!!このままじゃ、魁斗が危ないよ!!」


「でも、これを直さないと敵が次々に!!」


「誰かに代われないの!?」


「防御壁を直すのは俺の仕事だ!!他の奴にはできない!!」


「…わかった。」


俺は魁斗のすぐ側まで行きどんどん侵入して来ている敵を魁斗に近づけないようにした。


「俺が魁斗を守る!だから、早く終わらせて!」


「新…わかった!しっかり守ってくれよ!!」


俺は魁斗周辺に水の膜と氷の盾を作り万が一に備えた。


魁斗は今まで侵入して来ていた敵に妨害されていたため修復が遅かったが、俺が来る前よりも修復が早くなった。


魁斗は一切こちらを振り返らない。

それは俺を信じてくれている証なのだと俺もわかっていたから、敵を何としてでも魁斗に近づける訳にはいかなった。


次々と侵入して来る敵。ようやく国の軍が応戦に来たが、不思議なことに兵の1人もここに来ることは無かった。


そういえば、周りに誰もいない。

普通は警護をつけるはずなのに、警護どころか魁斗を気にしている人さえいなかった。


どういうことだ。


俺は不思議になり周りの状況を見ると、壮絶な光景が目に入った。


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