第34話 最悪のルート

「新!拓!」


俺達が地下へ避難したみんなの所に行くと入口に居た杏様が直ぐに気づいて呼んだ。


「杏!!みんないる!?」


「大丈夫だ。全員ここにいる。拓が消えたのは心配したが。」


「ごめんねー。あっくんに連れ出されちゃって。」


「まぁそうだとは思っていたが、新も一言かけていけ。」


「ごめんね。」


「それよりも、状況の説明を。外はどうなっているんだ?」


「敵襲だよ。この学校の真上の防御壁が壊された。そこから数人の敵が入ってきてる。この地下はバレないように魔法がかかってるけど、ここから上は危険かもしれないから絶対に出ないでね!杏、みんなを守って。」


「新!!」


俺はそれだけ言うと地下を飛び出した。後ろでは俺を呼び止める声があったが無視して屋上へ駆け上がる。

幸い敵には遭遇せず何事もなく屋上へ出たが防御壁の魔法陣はとても大きな穴が開き敵がうじゃうじゃと侵入してきていた。


その侵入者と必死に戦う大人達に混じって防御壁を直している魁斗が見えた。


「何故魁斗が先頭に!!?」


俺は急いで魁斗の元へ飛んだ。

戦っていた1人が俺に気づいて飛んできた。


「君!何やってるんだ!!早く避難しなさい!!」


「俺は魁斗に用事が!!」


「そんなの後にしてくれ!!あの人は今防御壁を直してくれているんだ!!さぁ!早く戻って!!」


俺は無理やり学校の屋上まで戻されるとそのまま校内に押し込まれ屋上への扉の鍵を閉められた。


「待ってください!!」


俺は魔法で開けようとしたが強力な魔法陣が張られたようで扉はビクともしなかった。

他の窓や扉も同様で一切開かないようになっていた。


俺はこの結末を知っている。


これは、魁斗のバッドエンドルートである。

魁斗が防御壁を塞ぎに行った時、同時に妨害する何者かが現れ魁斗はそいつに敗れる。

魁斗は重症を負いそのまま亡くなる。


それを見た杏様が怒り狂い1人で復讐に行き杏様も殺される。


この時点では新が死んだとは書かれていなかったが、杏様と魁斗は間違いなく死ぬ。


魁斗が死ねば何らかの影響が杏様に出るはず。

それだけは避けないといけない。


俺の推しが死ぬのは見たくない。


俺は意を決して学校から出るため屋上への階段の踊り場で天井を魔法で壊した。


するとあっさりと壊れた天井からは激しい戦いの音と、魔法がぶつかった衝撃が鳴り渡った。


俺はもう一度、今度は周りにバレないように急いで、だが、遠回りで魁斗の元へ向かった。




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