第23話 協力者の交渉

「神の使いが2人か…。戦争は不可避。俺が余計なことしたからかなぁ。」


「余計なこと?むしろ変えてくれたことに感謝してるよ。あのわがままでプライドがエベレスト級のあっくんが、お茶くれたんだよ?凍ってたけど。」


「エベレストって知ってるんだね。」


「隣の国にある高い山だよー。」


「あれ、たっくんもう吹っ切れてる?」


「俺思うんだよね。あっくんが変わったなって思った時に運命も変わったんだよね。あっくんの行動でこの先の運命も変えれるかもよ?」


俺が変わった時、っていうのは新として転生した時のことかな。

俺が来たことで未来が変わるなら、もしかしたら。


「やってみてよ。戦争が何年後かは俺には分からないけど、あっくんなら出来ると思うよ。」


「たっくん…。」


「あと、佐久間団長を見張る必要があるね。よし、これから作戦会議だ!」


「お、おうよ!!」


この日、2人で夜明けまで作戦を練って、時には笑い話をしてモチベーションを上げたり、お互いを励まし合いながら今後のことについて話した。


まずは佐久間さんに近づくこと。これが第一の目標になった。

俺はこの佐久間という人物のことはあまり知らない。もちろん佐久間という人物自体モブキャラのようなものだった。

目立つキャラでもなくただの師匠としか覚えていない。


そのため佐久間という人間のことを1から知る必要があった。


新の記憶では、ただの優しい師匠というイメージしかない。

特になにか優れていた訳ではなく、明るく優しく、時に厳しく、みんなのことを可愛がり、お兄さんのような人だった。


神の使いだった人にしては平凡すぎたくらいだ。


神の使いとしての使命が終わり、精霊使いとなってからのことは何も分からない。

ここまで来るとどん詰まりになる。

俺たちは協力者を探すことにした。


「というわけで、協力してくれないかな?」


「…僕はそんなに暇じゃない。それに、戦争が起こることは予言されていたし、そのために今国が動いてるんだよ?僕達にできることなんてないよ。」


1番の権力を持っている魁斗を味方につけるのが早いと思ったが、そう簡単には行かなかった。


「みんな死ぬってたっくんが言ってたんだよ?」


「確かに拓の力は信用出来るけど、僕たち子供が大人の領域に踏み込むのは、ね?それに、模擬テストもうすぐだよ?大丈夫?」


「…じゃあさ!今度の模擬テストで俺が勝ったら協力して!?」


「あのね、ぼくは勝てるとわかってる勝負をするのはあまり…。」


「あっそう。じゃあ魁斗の秘密ばらまくもーん!」


「秘密?」


これは説明書のプロフィールに書かれていた。


「3年前、神の名を授かったとき…。」


「まて!わかったよ!!やればいいんでしょ!?」


「そうだよ。無理に協力しろって言ってるわけじゃないんだし、勝負して勝てばこのことは無かったことにするから。」


俺はこうして協力者ゲットの1歩目を踏み出した。

脅しただけだけどね!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る