第22話 予想外
ご飯を食べてそれぞれ解散した後、部屋に戻るとすぐにたっくんが来た。
「ごめんねぇ。ちょ〜っと気になることがあって。」
「なに?あ、コーヒーでいい?」
「杏のことでさ、あ、お茶がいい〜。」
準備していたコーヒーは自分用にして、冷えたお茶を凍らせてたっくんに出した。
せっかくコーヒーついだのに。
「杏?模擬戦の時?」
「うわ、地味な嫌がらせだ。そうそう。模擬戦の時、あっくんよく見て無かったみたいだから。あれさ、聖獣2体じゃないよ。」
「え?」
「どっちかは精霊だ、しかも神クラスの。」
「それって…」
「うん。間違いない。神の使いだよ。」
ここで俺は知らないフリをした。
原作では明確に言われてなかったが、進めるうちに何となくテルが精霊であることが匂わせられていた。
しかし杏自信、精霊だと気づくのはほぼ最後の方で、もちろん俺たちは最後まで誰一人として精霊だと気付かない。
なのにたっくんは精霊だと気付いた?何故?それに、神の使いとは一体…
俺が杏様と仲良くなってしまったことで、ストーリーが変わってきている?
でもそうなれば魁斗は、普通の精霊使いということになる。
神の使いは世界に1人しか存在しない。
そもそも神の使いの力は神の化身である精霊に神の力を宿らせ、その精霊と契約した者が神の使いになる。
原作では結ばれた魁人と杏様が神の使いの力を分け合い2人で神の使いとして一心同体、言葉の通りの人生を送るところで終わる。
この時はまだ杏様は神の使いの力は無いはずだ。
この間魁斗が神の名を持っていることは分かったはずだ。神の名は神の使いに与えられる名だ。
魁斗は神の使いで間違いない。
「たっくん、見間違えたんじゃない?」
「ううん。あれは間違いなく精霊魔法だった。だいたい、精霊使いの攻撃は精霊使いでは跳ね返すことはほぼ不可能。でもあの時、攻撃が跳ね返されてあっくんに流れた。間違いなく精霊の力だった。」
「そんな…、それじゃあ魁斗は!?」
「だから俺も困ってるんだよ!俺だって訳わかんないよ。どうしたらいいのあっくん。これじゃ、このままじゃ、みんな…。」
「何が見えたの?」
「…。」
「たっくん!!」
たっくんの能力は2つ。炎を操る力と、未来を見通す力。
「ねぇ!!」
「…みんなっ、みんな、殺される…。」
「誰に?」
「佐久間(さくま)団長に。」
「佐久間…さん…?」
佐久間とはこの国最も優れた兵士であり新たちの師匠のような人だ。
そして先代の神の使い。
俺は絶望した。この感情は新としてが大きかった。
精霊使いはみなこの人に教えられてきたよなものだ。
「何かの間違いだよね。たっくん…。」
「間違いない!俺が見るのは真実だけ!!」
こんなに声を荒らげてるたっくんは初めて見た。
新の過去の記憶でもこんなたっくんは見たこと無かった。
「どうしようか…。」
「…逃げる?」
2人で諦めてネガティヴな会話が始まる。
結局、無理なのかもしれない。
どちらにしても死ぬ運命なのだと、言われているのかも…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます