第19話 模擬テスト

お昼ご飯の時間になり風紀室の外から話し声が聞こえてきた。

そして勢いよくドアが開く。


「あっくーん!サボりですか〜?昨日に続けて今日もサボりなんていけない子ですなぁ。」


「いいの。俺風紀委員長だし。」


「さて、本当にいいのかなぁ?」


「なに?」


「新。来週、テストだ。」


杏様が淡々と発したその単語に俺は固まった。


「あっくんが石像になった〜。」


「え、テストって…。」


「うん。模擬テスト。1ヶ月早まったらしいよー。なんでも、もうすぐ戦争が始まるとか。」


模擬テストとは簡単に言えば戦闘訓練のようなものだ。

実際に魔法を使った模擬戦を行い、その強さで点数が付けられる。


新は頭脳派であったが実戦もなかなか好成績だった。はずだ…。


「あっくんなら大丈夫だと思うけど、念の為ね。」


たっくんは気が利く。


「新、頼みがあるんだが…。」


杏様が俺の制服の袖を握って少し小さな声で話しかけてきた。


「なに?」


「時間があるならでいいんだ。勉強、教えて欲しい。」


そう言った杏様は少し恥ずかしそうだった。


照れてるとこもギャップ萌えで可愛い!!


「ありがとう。」


「じゃあ明日から勉強会やろ!たっくんも来るよね?」


「あ、うん。やろ〜。」


たっくんは少し微妙な顔をしていたが賛成してくれた。


この時俺は悪夢のことなど既に忘れていた。


そしてそのままお昼は風紀室で食べることにして、たっくんと杏様が食堂から持ってきてくれた魚の刺身を食べて、当たった俺はそのまま午後の授業にも出られず寮に帰ってすぐに寝た。


元の世界ですら食あたりなんてなったこと無かった為、こんなに辛いものとは思わず、たっくんに泣きついてしまったのは内緒である。

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